SUMAU BAKERY BANK
松風 @砧
クロワッサン
(手前から)黒ごまとクリームチーズ 180円 プレーン 180円 抹茶 200円
13年やっているけど、季節の巡り方は一度も同じじゃなかった。
店主の田所さんはおっしゃっていました。
あ、こんな感じの日あった、とかは思うけどやっぱり違うのよね、と。
パンに限らず、ものを作るということは季節に敏感であるということなのかもしれません。
2軒目にご紹介するのは、松風さん。
こちらは正真正銘、軒先系です。自転車来店率高し。
財布や子ども小脇に抱えた、ご近所さんと思しき方たちが、入れ替わり立ち替わりやってきては
思い思いのパンを買って、天気の話やら資源ゴミの日の話やらをして去って行かれます。
たまに店先にあるベンチに腰掛けて世間話をしている人も。
そんなお客さんを迎える田所さんは、とても気さくな方です。
そしてそこはかとなく漂う洗練された感じは、作られるパンとそっくり。
自家製酵母で焼かれる松風のパンは、素朴な見た目のものばかりですが
練り込まれているものなんかが都会的というか、素朴すぎないステキな案配なのです。
酵母はぶどう、小麦、ライ麦からおこしたものと、季節によってはいちごや八朔、
干し柿などもあれば使うそうです。
というわけで、冒頭のクロワッサン三兄弟(三姉妹でも可)
いずれも小ぶりでどっしり、そしてカリカリ。
特にプレーンの端っこのカリカリは後を引きます。バターの香りと小麦粉の甘みと共に。
黒ごまとクリームチーズのクロワッサンは、最後に振られた塩がところどころで現れて
ちょうど良いアクセントになります。
一番奥の抹茶のクロワッサンは、ほのかだけれど確かな抹茶の風味がステキです。
ふだん抹茶入りのパンとか見かけても、まず手は出さない私ですが、
これはまた食べたいと思いました。
(左)キャラウェイシードとくるみ 計り売り、500円前後〜
(右)カシス 400円
そしてカシスと、キャラウェイシードとくるみのパン。手ごねだそうです。
みなさまは機械で捏ねた生地と、手で捏ねた生地の違いがおわかりになりますか。
私は残念ながらよくわかりません。
田所さん曰く、やっぱり手ごねはおいしいよ、とのこと。
ぜひとも違いのわかる女になりたいものです。が、違いはわからなくともおいしいのはわかる。
歯切れが良くほんのり甘い生地と、甘酸っぱいカシスが口の中で合わさって絶妙。
そのままのしっとりした感じも良いのですが、軽く焼き直してカリカリ部分を作るのもオススメです。
キャラウェイシードとくるみのパンは、使う粉の半分くらいがライ麦だそうです。
ライ麦のパンはまだありますか?とやってくるお客さんもいて、人気があるモヨウ。
ちなみにライ麦を使ったパンは、他にもあるようですのでキャラウェイが苦手な方もご安心を。
キャラウェイシードはけっこうたくさん入っていて、なかなか個性的です。
キャラウェイだけではない複雑な香りも魅力のひとつだし
ほろほろザクザクしっとり、いろんな食感も楽しめます。
どっしりしているので、薄めに切るのもいいですが、私は厚めに切った方が好きです。
どっしりはどっしりとして美味しく頂くの巻でございます。
そんなこんなで、次回。
その潔いキャラウェイの使いっぷりにこころを動かされ、
「スパイスが香るパン」でつなぐことにしました。
これから暑くなってまいります。
みなさまには食欲を刺激するスパイスで、もりもりパンを消費して頂きたいと思います。
最後になりましたが、松風さん。午前中早めの時間に行かれるのがより良いかと。
夏期は配送も受けているとのこと。遠方の方もこの機会にゼヒ。
松風
住所:東京都世田谷区砧3-33-6
電話:03-3416-8888
営業時間:9:30~売り切れまで
定休日:月、火、木、金曜、第3水曜
夏期は配送も可(問い合わせは、電話080-5000-2463 まで)
(文・マツナガナオコ)
PROFILE マツナガナオコ
佐賀県出身。2009年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。料理写真家のアシスタント時代にパン愛に目覚める。趣味は茶道。最近は語学にも精力的に取り組む(ヨーロッパにパンを食べに行くため)
>パン画像蒐集ついでのパン屋ガイドブログ
※ 掲載商品の価格は、消費税込みの価格です(2014年6月18日時点)。