SUMAU BAKERY BANK

2017.04.19

さわやかな春には
柑橘系パンがお似合い
【祖師ヶ谷大蔵・大岡山】

春爛漫。さわやかな春風に誘われる気分で、今月お送りするのは「柑橘系パン」。パンとの相性はもちろん、ナッツ、ドライフルーツ、あんこ……などなど、組み合わせの楽しさも存分に味わってください。

 

未知の領域のパンが食べられます

ラトリエ ドゥ プレジール @ 祖師ヶ谷大蔵

 

そこに並んでいるパンは、田中祐治シェフからのメッセージなんでした。

 

お話を伺っていたとき、たとえばまず酸味がきて後味に甘みが残るようなパンを作ろうと思って作るパンもあるし……と田中シェフがおっしゃいまして、前にプレジールさんで買って食べたパンが、まさにそんな味わいだった! とびっくりしました。

本当に説明通りの味わいのパンって、そうはお目にかかれません。

あ、けっこう酸っぱいな……でも最後が甘い、と思ったことを鮮明に覚えていて

言葉通りかつ、それほどくっきりした味わいだったのです。

 

と、いきなり今月のテーマから外れたパンの話から始めてしまいましたが

春らしく柑橘類とパン。

最初にご紹介するのは上の写真「スィトゥロン(190円)」です。

 

立派で、香り高いレモンピールとオレンジピールが混ぜ込まれています。

ほんのり甘いけれど、ほんのり苦くもあり

まわりにカリッとしたところもあって、弾力もあります。

なんだかお肉でも食べてるのかと思えるほどの芳醇さは

練り込まれているというオリーブオイルの効果もあるんでしょうか。

食べてる最中、鼻に抜ける香りが地中海です(行ったことないけど、たぶん)。

 

パン オ フリュイ ルージュ2017 3.5円/1g

パン オ フリュイ ルージュ2017 3.5円/1g

 

「パン オ フリュイ ルージュ2017」にも、オレンジピールといよかんピールが使われています。

しかし特筆すべきは、そのぶどうジュース感!

水を一切使わず、山葡萄の果汁だけで練り上げられた生地は

後味がぶどうジュースを飲んだかのようです。

でも、ご覧の通りぎゅうぎゅうに詰め込まれた4種のナッツと6種のドライフルーツ

グリュエドカカオとバニラビーンズという、贅沢な面々に負けない小麦感が持ち味でもあります。

 

あくまでパンである、というバランスを大事にされているとのこと。

そのために注ぎ込まれる情熱と、数種の発酵種。

計り売りの商品で、1.5センチほどの厚みだと200円前後です。激安だと思う。

 

(左)パン オ パヴォ 290円 (右)パン オ ノワ エ レザン オ フロマージュ 360円

(左)パン オ パヴォ 290円 (右)パン オ ノワ エ レザン オ フロマージュ 360円

 

続きまして「パン オ パヴォ」こちらも柚子ピールが入っていますよ。

柚子の爽やかな香りが鼻をくすぐります。軽やかなクラストも魅力的。

ケシの実も入ってるんです。これが絶妙な香ばしさの素になっているモヨウ。

ケシの実と同じく、胡椒もとても上品に使われています。

姿は見えないけれど、ピリリと効いていてステキです。

 

このパンでは細かく挽かれた胡椒を使っているけど、他のパンでは麺棒で荒く叩いただけの胡椒を使ったりもするとのこと。細かいところまで考えられています。

 

考えられているといえば、田中シェフ! 試作は一切されないそうです。

そう言うと驚かれるけど、主婦/主夫の方が冷蔵庫にあるもので料理を作るのと同じですよ、と。

まあ……次元がちょっと違う気がするけど納得してしまったりもしました。

 

そして「パン オ ノワ エ レザン オ フロマージュ」ですが

その名の通りくるみとレーズン、真ん中にたっぷりクリームチーズ。

外側が意外と柔らかくて、それが中の生地とくるみと同じ固さなのですよ。

ほー……とアホみたいに感心してしまいました。

で、まったりしたクリームチーズ。

最後にかけられるという黒蜜が、底にちょっと染みていたりで、舌に甘さを伝えます。

完璧なまとまり方。

しかし、完璧なだけあって人気商品のようです。みなさまがんばって入手して下さい。

 

ル パン ド メテイユ 2.6円/1g

ル パン ド メテイユ 2.6円/1g

 

最後に「ル パン ド メテイユ」を。

メテイユはフランス語で、小麦とライ麦が混合されているパンを指します。

その割合で名前が変わってくるようです。

なので、このパンはライ麦と小麦が同量混合されていて

なおかつプレジールさんでは、挽き方の異なる2種の有機ライ麦粉と

3種の小麦粉が使われているんですって。合わせて5種ですよ!

 

しかもそれは、お店に鎮座している石臼で挽かれた粉です。

田中シェフは「粒度が大事」とおっしゃっていました。粉の細かさのことですね。

粒度とかいう言葉はじめて聞きましたよ。

その粒度や品質をコントロールするための、自家製粉なんだそうです。

 

「ル パン ド メテイユ」の味わいは、以下のように説明できます。

ルヴァン種の爽やかな酸味もありつつ、フルーティで

後味に甘みを感じられるよう軽く仕上げてある。

 

田中シェフにとって、理想のパンはどういうものかとお尋ねしたところ

毎日作っているのが理想のパンだ、と。

ただし満足はしていませんとのこと。

職人ならば、誰でも憧れるであろうお答えでした。

 

7_8

 

L’atelier de PLAISIR

住所:東京都世田谷区砧8-13-8

電話:03-3416-3341

営業時間:12:00~19:00

月曜、木曜定休

http://www.plaisir1999.com/

関連記事一覧