SUMAU'S SCENE

2016.01.18
大きなガラス格子がモダンな、日本近代建築の匠・前川國男氏の自邸。資材入手困難な戦時下の1942年に建てられました(品川区上大崎)。

大きなガラス格子がモダンな、日本近代建築の匠・前川國男氏の自邸。資材入手困難な戦時下の1942年に建てられました(品川区上大崎)。

 

 

時代ごとの暮らしを垣間みる

さまざまな建築様式の住宅

 

東ゾーンの商業建築に対し、西ゾーンは住宅建築が並んでいます。それぞれの時代、様式の住宅をみて廻ることができます。

 

日本近代建築の匠、前川國男氏の自邸は、限られた空間を最大限に生かしたシンプルでぬくもりのあるデザイン。

 

切妻屋根の空間性を生かし、屋根までつづく一面の大きなガラス格子は、ル・コルビュジエに師事した名匠ならではのモダンなデザインで、今もなお斬新さを感じます。

 

1952年、港区西麻布に建てられた三井八郎右衞門邸。襖絵に花鳥風月画が描かれ豪華絢爛。

1952年、港区西麻布に建てられた三井八郎右衞門邸。襖絵に花鳥風月画が描かれ豪華絢爛。

 

豪華絢爛さが圧倒的な三井財閥の三井八郎右衞門邸。

 

赤い絨毯が敷かれた居間に立派な調度品が並んでいます。

 

花鳥風月が描かれた襖絵には、思わずため息がこぼれてしまうほどの見応え。

 

前川國男邸のテレビ、田園調布の家の電話など、家電は文明の進化による賜物。

前川國男邸のテレビ、田園調布の家の電話など、家電は文明の進化による賜物。

 

台所は時代とともに変遷が顕著。常盤台写真場(左)は、大きなお釜が印象的な和風。田園調布の家(右)は、オーブンや冷蔵庫もある洋風。

台所は時代とともに変遷が顕著。常盤台写真場(左)は、大きなお釜が印象的な和風。田園調布の家(右)は、オーブンや冷蔵庫もある洋風。

 

建物ごとに、文明の進化をみてとることができるのが、江戸東京たてもの園の魅力。

 

家電や、台所、お風呂場は、時代とともに進化していく様が顕著で、面白い。

 

大正時代の田園調布の家は、当時では珍しい全室洋間、台所まで洋風でした。

 

常盤台写真場(板橋区常盤台1937年・上)、田園調布の家〈大川邸〉(大田区田園調布1925年・下左)、デ・ラランデ邸(新宿区信濃町1910年・下右)、など、さまざまな建築様式の住宅が並んでます。

常盤台写真場(板橋区常盤台1937年・上)、田園調布の家〈大川邸〉(大田区田園調布1925年・下左)、デ・ラランデ邸(新宿区信濃町1910年・下右)、など、さまざまな建築様式の住宅が並んでます。

 

黄色い外観が可愛らしい田園調布の家や、赤い屋根が立派な洋館のデ・ラランデ邸。白いコンクリートの、シンプルかつ丸みのあるフォルムが象徴的な常磐台写真場。

 

いずれも実際にお宅にお邪魔しているような優しい気配に包まれるのは、住んでいた人の家に対する愛が感じられるからでしょうか。

 

都会の喧噪から離れた武蔵野の、木々に囲まれた静かな空間。

 

あたたかな陽射しの下を散歩したいけれど、ずっと外にいるのは寒い、そんな冬のおさんぽにはぴったりです。

 

(写真・文/川野結李歌)

 

Profile:川野結李歌

横浜生まれ。大学卒業後(美術史専攻)、2013年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。雑誌を中心に、ポートレート、映画、アート、建築など幅広く撮影。趣味は海外旅行、スケッチ、愛犬との昼寝。

 

12

綱島家(農家)・世田谷区岡本・江戸中期 

江戸東京たてもの園

1993年(平成5年)に開園した野外博物館。両国にある江戸東京博物館の分館になる。都立小金井公園の中に位置し、敷地面積は約7ヘクタール、園内には江戸時代から昭和初期までの、30棟の復元建造物が建ち並ぶ。現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示するとともに、貴重な文化遺産として次代に継承することを目指している。

住所:東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)

電話:042-388-3300

開園時間:4月~9月/9:30~17:30、10月~3月/9:30~16:30

(入園は閉園時刻の30分前まで)

休園日:月曜日・年末年始

(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)

入園料:一般400円、65歳以上200円、大学生(専修・各種含む)320円、高校生・中学生(都外)200円、中学生(都内在学または在住)・小学生以下無料

http://www.tatemonoen.jp/

関連記事一覧