SUMAU'S SCENE
ビーチ・アート・建築
東西文化が融合したカラフルな島、ペナン島
ペナン島といえば、マレーシアのビーチリゾートというイメージが先行しますが、世界遺産・ジョージタウンを含む中心部は、世界の縮図のように異文化が共存している魅力。近年は、ウォールアートが人気で、SNS栄えするフォトスポットがたくさん。カラフルなペナン島さんぽ。
ペナン島は、マレーシアの西側に位置する
東洋の真珠と呼ばれる小さな島です
マラッカ海峡という土地柄から、かつては東西貿易の拠点として栄えました。
島の中心部、2008年に世界遺産に登録されたジョージタウンには、文化が異なるさまざまな建築が今も共存しています。
15世紀以降に移住してきた中国系移民は、中国とヨーロッパ、そしてマレーの文化を融合させた「プラナカン」という独自の文化を築きました。
建物はネオゴシック様式やバロック様式。柱とアーチ、タイルが特徴で、パステルカラー。色もデザインも個性豊かで、可愛く並んでいます。
「プラナカン・マンション」は、19世紀末に建造された中国系富豪の住居。プラナカンの当時の生活を知ることができる博物館。ガラス食器や大理石の椅子などの華麗なコレクションのほか、家電や日用品まで、そのまま展示されています。
大航海時代になると、ペナン島はイギリスの植民地となりました。
島の北西部には、イギリスに統治された頃の建築群が今も行政機関として使用されています。海も近く、白や淡いグレーを基調とした街並みには、清涼感が漂います。
多彩なウォールアートが描かれた
ジョージタウンの街並み
近年は、ジョージタウンの街並みに描かれたウォールアートが盛んで、いたるところで見つけることができます。
カラフルにペイントしたものや、針金アート、さらには、壁にはめ込まれた自転車やバイクに乗って記念撮影を撮れるものまで、多種多彩。
ペナン島の人口の多くを占めるのが、中国系民族。ジョージタウンにある中華街は、レトロな建物と看板が並び、まるで映画のセットのよう。
看板には英語と中国語が書かれ、フォントも可愛らしい。
東西交易や植民地化を経た歴史から、中国・インド・イギリスなどの様々なルーツを持つ人々が根付いて暮らすペナン島。
信仰する宗教も様々なので、宗教施設も混在しています。
街のシンボル、コムタタワーは65階建て。展望台からは、オレンジ色の屋根が広がるジョージタウンと青い海、その向こうにはマレーシア半島まで見渡せます。
夜は、ディナー付チケットを購入した方だけが展望台に登れる特別な時間。ゆったりと静かに、夕暮れから夜景までの移りゆく景色を眺める贅沢なひと時を過ごせるのでオススメです。
様々な人々が暮らすペナン島。海と温暖な気候で、島全体にのんびりとした空気が漂い、治安もいいので、小さなお子様連れの家族旅行や女子旅でも安心。
ビーチリゾートとカラフルな街並み。歴史と文化の縮図のような島。今年の夏休み、せひ、行かれてみては。
(写真・文/川野結李歌)
Profile:川野結李歌
大学卒業後(美術史専攻)、2013年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。雑誌を中心に、ポートレート、映画、アート、建築など幅広く撮影。趣味は海外旅行、スケッチ、愛犬との昼寝。
ペナン島
ペナン島は、マレー半島の西方、マラッカ海峡に位置する島である。東西貿易の十字路であるマラッカ海峡に位置する地の利を生かして、古くから交易船の寄港地として栄えた。1786年、ペナン島はイギリスに割譲され、自由貿易港となる。2008年、マラッカ海峡の歴史的都市群としてマラッカとともにジョージタウンが世界遺産に登録。ペナン島は「東洋の真珠 」と呼ばれ、現在でもマレーシア随一の観光地として賑わっている。