SUMAU'S SCENE

2016.05.30

潮風香るベイサイドエリア
横浜近代建築さんぽ

1859年の開港以来、数多くの近代建築が残る横浜・関内地区。日本の近代化を象徴するような建築が現存、復元されています。西洋のような街並みをゆったりさんぽ。ベイサイドエリアの開放的で穏やかな空気を感じながら、美しい名建築の数々に出会ってきました。

 

(上)象の鼻パークから見えるクイーンの塔(横浜税関庁舎)。(下)来年150周年を迎える馬車道に並ぶ街灯と神奈川県立博物館。屋上ドームは「エースのドーム」として知られています。

(上)象の鼻パークから見えるクイーンの塔(横浜税関庁舎)。(下)来年150周年を迎える馬車道に並ぶ街灯と神奈川県立博物館。屋上ドームは「エースのドーム」として知られています。

 

(左)横浜税関庁舎のエントランス。(右)横浜開港資料館旧館(旧英国総領事館)。

(左)横浜税関庁舎のエントランス。(右)横浜開港資料館旧館(旧英国総領事館)。

 

湾岸都市ヨコハマに残る

近代建築の数々

 

横浜の関内駅から、馬車道駅まで続く馬車道は、1867年に道路が整備され、来たる2017年に150年記念を迎えます。

 

馬車道、日本大通り駅周辺には、昭和初期に建てられた西洋式の近代建築が街のいたるところに現存しています。

 

港町らしい開放的で穏やかな空気も相まって、現代の日本とは思えぬ街並みです。

 

 

花のモチーフが可愛らしい掘り柱は横浜銀行協会(旧横浜銀行集会所)。

花のモチーフが可愛らしい掘り柱は横浜銀行協会(旧横浜銀行集会所)。

 

(左)横浜開港資料館旧館(旧英国総領事館)の赤レンガ。(右)神奈川県庁本庁のレトロ

(左)横浜開港資料館旧館(旧英国総領事館)の赤レンガ。(右)神奈川県庁本庁のエレベーター

 

(左)正方形が重なって突起したレンガの綜通横浜ビル(旧本町旭ビル)。(右)さざ波を思わせるようなシルクセンターの外廊下。

(左)正方形が重なって突起したレンガの綜通横浜ビル(旧本町旭ビル)。(右)さざ波を思わせるようなシルクセンターの外廊下。

 

街を歩いていると、あちらこちらにアール・デコ調の幾何学模様の装飾に出逢います。どれも可愛らしく、リズミカル。

 

花のモチーフが施された彫り柱(横浜銀行協会〈旧横浜銀行集会所〉)や、正方形が重なって突起したレンガ(綜通横浜ビル〈旧本町旭ビル〉)など、街全体に散りばめられたデザインパズルのピースを探す探検気分。

 

神奈川県庁本庁のエレベーターは必見です。

 

古代ギリシャ建築のような円柱が特徴の日本郵船歴史博物館。

古代ギリシャ建築のような円柱が特徴の日本郵船歴史博物館。

 

(左)東京藝術大学大学院映像研究科の馬車道校舎になっている旧富士銀行横浜支店。 (右)半円形のバルコニーが特徴のYCCヨコハマ創造都市センターは、旧第一銀行横浜支店。

(左)東京藝術大学大学院映像研究科の馬車道校舎になっている旧富士銀行横浜支店。
(右)半円形のバルコニーが特徴のYCCヨコハマ創造都市センターは、旧第一銀行横浜支店。

 

古代ギリシャ建築のような、円柱が特徴的な建築も多数見受けられます。

 

日本郵船歴史博物館は、昭和11年に日本有数の海運会社・日本郵船の横浜支店として建てられ、現在は海運の歴史を展示する博物館となっています。

 

半円形のバルコニーが特徴のYCCヨコハマ創造都市センター(旧第一銀行横浜支店)」は、1Fにカフェ、2Fはアトリエやシェアオフィスになっています。

 

 

キングの塔の愛称で親しまれている神奈川県庁本庁舎の高さは約50m。1928年完成で、神奈川県内で最初の国登録有形文化財。

キングの塔の愛称で親しまれている神奈川県庁本庁舎の高さは約50m。1928年完成で、神奈川県内で最初の国登録有形文化財。

 

(左)横浜税関本関庁舎のクイーンの塔の高さは約51m。(右)横浜市開港記念会館のジャックの塔の高さは約36m

(左)横浜税関本関庁舎のクイーンの塔の高さは約51m。(右)横浜市開港記念会館のジャックの塔の高さは約36m

 

(左)神奈川県庁の前の通りで見つけた3つの塔のデザインタイル。(右)屋上からは、横浜港や大さん橋、クイーン、パシフィコ横浜を一望。

(左)神奈川県庁の前の通りで見つけた3つの塔のデザインタイル。(右)屋上からは、横浜港や大さん橋、クイーン、パシフィコ横浜を一望。

 

キング、クイーン、ジャック

港町のシンボルとしてそびえる3つの塔

 

横浜近代建築群のシンボルとしてそびえるのが3つの塔です。キング、クイーン、ジャック、と呼ばれています。

 

キングが神奈川県庁本庁、クイーンが横浜税関本関庁舎、ジャックは横浜市開港記念会館です。

 

キングの屋上からは、横浜港や大さん橋、クイーン、パシフィコ横浜を一望でき、反対側からはジャックを眼下に見下ろせます。

 

3つの塔のデザインをあしらったタイルを見つけました。

 

横浜市開港記念会館2階広間の、開港当時を描いたステンドグラス(呉越同舟/鳳凰/箱根越え)。

横浜市開港記念会館2階広間の、開港当時を描いたステンドグラス(呉越同舟/鳳凰/箱根越え)。

 

横浜市開港記念会館の講堂は今も使用されている。481名収容。

横浜市開港記念会館の講堂は今も使用されている。481名収容。

 

横浜市開港記念館(ジャック)の塔は、大正6年に横浜開港50周年記念事業の一環として建てられました。

ステンドグラスや講堂のアーチ型の天井は息をのむ美しさ。

 

茶褐色のレンガが美しい横浜貿易会館。北欧料理SCANDIAは、大さん橋交差点の名物レストラン。

茶褐色のレンガが美しい横浜貿易会館。北欧料理SCANDIAは、大さん橋交差点の名物レストラン。

 

(左)象の鼻パーク。大さん橋から延びる防波堤が象の鼻に似ていることから呼ばれている。(右)横浜海洋会館も趣のあるレンガ貼りのビル。

(左)象の鼻パーク。大さん橋から延びる防波堤が象の鼻に似ていることから呼ばれている。(右)横浜海洋会館も趣のあるレンガ貼りのビル。

 

ベイサイドエリアを巡る周遊バス「あかいくつ」号と横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館)。

ベイサイドエリアを巡る周遊バス「あかいくつ」号と横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館)。

 

海岸通り沿いには、横浜海洋会館や横浜貿易会館などのレンガ貼りのコンクリートビルが並びます。

 

横浜貿易会館のひときわ目立つ北欧料理SCANDIAは、創業44年。本格的な味と落ち着く店内で、愛され続けています。

 

湾岸通りを抜けて、象の鼻パーク、大さん橋まで歩くと、向こう岸にみなとみらいの現代建築群が見えます。

 

潮風香る中、ヨコハマの近代建築をめぐる、ゆったりさんぽ。おすすめです。

 

(写真・文/川野結李歌)

 

Profile:川野結李歌

横浜生まれ。大学卒業後(美術史専攻)、2013年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。雑誌を中心に、ポートレート、映画、アート、建築など幅広く撮影。趣味は海外旅行、スケッチ、愛犬との昼寝。

 

 

横浜関内で訪ねた主な近代建築

 

神奈川県立歴史博物館(エースのドーム)

住所:神奈川県横浜市中区南仲通5-60

電話:045-201-0926

http://ch.kanagawa-museum.jp/

※2016年6月~2018年4月下旬まで改修工事のため休館

 

横浜開港資料館(旧英国総領事館)

住所:神奈川県横浜市中区日本大通3

電話:045-201-2100

http://www.kaikou.city.yokohama.jp/index.htm

 

日本郵船歴史博物館

住所:神奈川県横浜市中区海岸通3-9

電話:045-211-1923

http://www.nyk.com/rekishi/

 

神奈川県庁本庁舎(キング)

住所:神奈川県横浜市中区日本大通1

電話:045-210-2620(総務局 財産経営部 庁舎管理課)

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f380088/

 

横浜税関庁舎(クイーン)

住所:神奈川県横浜市中区海岸通1-1

電話:045-212-6053(税関広報広聴室)

http://www.customs.go.jp/yokohama/queen/queen.htm

 

横浜市開港記念会館(ジャック)

住所:神奈川県横浜市中区本町1-6

電話:045-201-0708

http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/kaikou/

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