SUMAU'S SCENE
アートと食の宝庫
瀬戸内海の島々さんぽ
温暖な気候で、大小三千もの島々が点在する瀬戸内海。島それぞれが、個性豊かで魅力的。島中にアートが散らばる男木島(おぎじま)・女木島(めぎじま)と、オリーブと醤(ひしお)が有名な小豆島をさんぽしました。
現代アートが島を彩る
男木島・女木島
男木島(おぎじま)は島のほとんどが山地で、島内は迷路のように坂道と石段が張り巡らされています。
その地理を活かした作品が眞壁陸二氏の「wallalley」。島で集めた廃材をカラフルにペイントし、民家の外壁に設置。島のあちこちで出会えて元気になる作品です。
島の玄関である港のインフォメーションセンターは、ジャウメ・プレンサ氏の「男木島の魂」。漢字や数字のファザードは、地面に落ちる模様のような影までがアート。
鬼ヶ島の伝説が有名な女木島(めぎじま)では、木村崇人氏の「カモメの駐車場」がお出迎え。列をなして並ぶカモメたちが、吹く風で方向を変えるさまが可愛らしい。
大竹伸朗氏の「女根/めこん」は休校中の小学校そのものを作品に。植物と廃材、色彩が賑やかに独特の世界を作り出しています。
オリーブと醤(ひしお)の里
名作映画の舞台、小豆島
瀬戸内海に浮かぶ島々の中で、香川県最大の面積を有する島は、小豆島。
1日2回、干潮の前後2時間だけ現れる〝エンジェルロード〟は、その儚さと美しさが相まって、恋人たちに人気です。
小豆島は、温暖少雨な瀬戸内海式気候。
その恵まれた気候を生かして、オリーブ、みかん、醤油、手延べそうめん、ゴマ油、佃煮など、特産品の製造が島の産業を支えています。
小豆島の独特な風景は、映画の舞台にも度々選ばれてきました。「二十四の瞳」、「八日目の蝉」、「魔女の宅急便」など、名作だらけ。
「二十四の瞳」の舞台となった苗羽小学校田浦分校は、映画村となっています。
小豆島にもアートは点在します。
デザイナー・清水久和氏の「愛のボラート」、建築家・中山英之氏のトイレ「石の島の石」など、海に面して設置されている作品が多いのが特徴。
島民を守るかのように、瀬戸内海を見つめています。
瀬戸内海の温暖な気候と風土は、のんびりアートを廻るのにピッタリ。特産品が豊富で、何泊しても食べ尽くせないほど毎食が楽しみ、ゆったり島さんぽ。
(写真・文/川野結李歌)
Profile:川野結李歌
横浜生まれ。大学卒業後(美術史専攻)、2013年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。雑誌を中心に、ポートレート、映画、アート、建築など幅広く撮影。趣味は海外旅行、スケッチ、愛犬との昼寝。