SUMAU'S SCENE
江戸・東京の歴史を訪ねて
隅田川・神田川・日本橋川をクルーズ
桜が少しずつ開花し始めた晴れの日、日本橋クルーズに乗船しました。日本橋のたもとの乗船場を出発して、神田川、隅田川、日本橋川を巡りながら、江戸の歴史を垣間見る、100分の船旅。水場から発展した水の都・東京は名橋も多く、川からの眺めは壮観です。
桜、湾岸都市、スカイツリーの絶景
大横川〜隅田川
日本橋クルーズは、神田川、隅田川を巡るコースのほか、扇橋閘門(おうぎばしこうもん)通行体験コースや、飛鳥IIなどの豪華客船を間近に見られるアトラクション気分満載のコースまで、バリエーション豊富。
コースによって、船の種類も異なります。とくに、人気なのが、春の期間限定、お花見クルーズ。
今回は、桜が開花し始めてまだ一分咲きの3月上旬、神田川100分コースに乗船しました。
日本橋は、徳川家康公が江戸と各地を結ぶ五街道の整備を始め、初代「日本橋」が架けられたのがはじまりです。
現在の日本橋は、1911年に架けられた19代目。橋の両岸に、麒麟と獅子の像が鎮座するその様は、荘厳で重厚感があります。
クルーズの乗船場は、その日本橋のたもと。
首都高・江戸橋JCTの下をくぐります。日証館は、日本橋兜町の旧渋沢栄一邸跡地に1928年(昭和3年)に建設され、東京証券取引所ビルと共に証券業界の歴史を担ってきた建造物です。
日本橋水門をくぐって、亀島川を下ります。高潮の洪水を防ぐための水門です。南高橋(みなみたかばし)をくぐれば、月島の高層マンション群が見えてきました。
このコースの醍醐味、桜を目指して、門前仲町と越中島(えっちゅうじま)の間を流れる大横川へ入ります。
撮影日は一分咲きでしたが、満開の時期はさぞかし絶景でありましょう。
桜を堪能した後は、隅田川を上ります。浜町公園を横目に、上流方向にはスカイツリーを観賞。
隅田川の幅の広さと波の大きさは、海原を航海しているような感覚になります。
江戸情緒と日本の歴史を垣間見る
神田川〜日本橋川
大航海の後は、神田川へ入っていきます。
近代的な景色から一変、江戸情緒満点です。屋台船が連なり、カモメが群をなしています。
カモメたちは、船に慣れていて、優雅に水面に浮き、クルーズが近づくと一斉に飛び立つ、その様はとても美しい。
文京区に入ると、御茶ノ水駅周辺は教育・医療機関が並ぶ清廉とした文化的な街並み。
JR中央線の車両が斜面上の線路を走ります。
水道橋を抜け、日本橋川に入ると、そこは千代田区の行政機関密集地域。虎ノ門に移転予定の気象庁や、日本経済を担う日本銀行が見えてきます。
日本橋川には、古い橋が多く残ります。
東京駅と神田駅を結ぶJRの橋梁には、旧国鉄の紋章が今も残っています。関東大震災にも耐えた堅固な橋です。
現在修復中の常盤橋(ときわばし)は、江戸城大手門から浅草に向かうために架けられた、日本で最も古い橋のひとつ。石材ひとつひとつに番記して保管し、修復後も元の位置に使用されます。
100分の船旅も、終わりが近づいてきました。
江戸以前から現代、そして未来。さまざまな建築物を見学しながらのクルーズは、東京の歴史と発展、街それぞれの風情、変わりゆく季節を感じる貴重な体験となりました。
(写真・文/川野結李歌)
Profile:川野結李歌
横浜生まれ。大学卒業後(美術史専攻)、2013年よりフリーランスのカメラマンとして活動中。雑誌を中心に、ポートレート、映画、アート、建築など幅広く撮影。趣味は海外旅行、スケッチ、愛犬との昼寝。
今回、乗船したクルーズ
日本橋クルーズ
主催・運航:㈱東京湾クルージング
電話:03-5679-7311(10:00~17:00)