SUMAUレストランクルーズ
世界のシェフや美食家が注目する
食の最前線“ペルー料理”が東京に上陸
【神宮前】
大事な人たちと大切な時間を楽しむために訪れたいダイニング&バーまで。
お料理はもちろん、空間、雰囲気、おもてなしまでSUMAU読者の感度にフィットする
“とっておき”レストランへとナビゲートします。
text by Jun OKAMOTO
Photographs Takemi KATO
今年オープンのモダンなレストランで
世界の食をけん引する、ペルー食文化の王道を味わう
Vol.16 ベポカ@神宮前
ガストロノミーの世界で、シェフや美食家たちが熱い視線を注いでいるのが、ペルーやブラジルに代表される南米。
中でもペルーは、“世界で最も美食を楽しめる国”といわれ、ここ数年は世界的な評価を高めています。
イギリスの飲食専門誌「レストランマガジン」が発表する「世界のベスト・レストラン50 2013」では、首都リマにあるペルー料理のレストランが2軒もランクインして話題をさらいました。こうしたスターシェフの登場をはじめ、ペルー人シェフの活躍が世界各国で際立っているなか、ペルー国内のレストラン・シーンもエネルギッシュなパワーにあふれています。
今年3月に開店したばかりで、みるまに人気店に登りつめてしまったペルー料理のレストラン「ベポカ」は、そんな本格的なペルー料理が楽しめるレストランです。
イエローに塗られた印象的な一軒屋の扉を開けると、吹き抜けのエントランスが迎えてくれます。ゆったりスペースをとった空間は邸宅の玄関のようで、一瞬にしてペルーへと導かれるようです。メゾネットになった館内は、1階がバー、2階がテーブル席のレストラン。モダンな中にもコロニアルなエスプリが施されたインテリアは、エキゾチックな気分を高めてくれます。
「自国の伝統的な料理や食材を見直す」という世界的な料理界のうねりと同調して、ペルーのシェフたちの間でも伝統料理や食材を見直そうという動きが活発になっています。ここベポカでは、そうしたペルーの伝統的なレシピを、ハイクオリティなレベルで提供しています。ただし、プレゼンテーションは驚くほどモダン。南米をほうふつとさせるビビッドな色合いの美しいひと皿が運ばれてくると、思わず目を見張ります。
ペルー生まれのベポカのオーナーは、「ペルー料理は一言では語れない」といいます。海から山岳地帯へと広がる国土は、砂漠やアマゾンをも含み、複雑な地形と気候を持っています。だから、食材は驚くほど豊か。種類豊富で新鮮な魚介類や野菜、バラエティ豊かな肉類が充実しています。これに加え、スペイン系やアフリカ系、中国系、日系などのさまざまな文化がクロスオーバーし、ペルーならではの独自の食文化が形成されています。
特徴的なのは、ペルー原産といわれる唐辛子を多く使うこと。何十種類もある唐辛子は、辛さだけでなく、辛みを除いて風味づけに使うこともあるそうで、その調理の手法もまた幅広く巧みです。主食はお米で、塩とにんにくをお米と一緒に炊き込んだ「アロス・コン・サル」を食べるそう。ベポカでも、メインディッシュと共に日本米で炊いた「アロス・コン・サル」を出しています。こんなところも、日本人には親しみやすい一面です。
ペルーのお酒として有名な、ブドウから造られる蒸留酒「ピスコ」や、紫トウモロコシのジュース「チチャ・モラーダ」など、初めて出会う異文化の香りもとても魅力的。
複雑にして繊細、さらにエキゾチックなこの国の食文化を知るには、なにはともあれ食べてみなくては。世界中のシェフたちが目を離せないというペルー料理のスピリットを、この夏はぜひベポカで体験して。