SUMAUレストランクルーズ
名シェフ降臨でニュースの
静かな一軒家イタリアン
【神楽坂】
春から初夏にかけては食材に最も季節感が表れる季節。その恵みを存分に味わうには季節を投影するイタリアンがおすすめ。日本の四季を巧みにとりいれながらもイタリアの文化が香る実力派シェフの一皿が一足先に初夏を運びます。
Vol.49 Kagurazaka Veri @神楽坂
チャーミングなワインと味わう
風格漂うベテランシェフの料理
神楽坂ヴェーリは、神楽坂の路地にたたずむ1軒屋のレストラン。入口でチャイムを鳴らして迎え入れてもらうというちょっと秘密めいたシチュエーションです。
1階は厨房とワインセラー、レストランは2階と3階にあります。
オーナーでソムリエの馬場正人さんは、6年間、イタリアでワイナリーや大衆食堂、ミシュランの星付きレストランなどで働きながらで20州を回ったというツワモノ。ワインのセレクトもさることながら、そのいかにも楽しそうなサービスにも多くのファンを持っています。
ここのところ日本では、ナチュラルに作られたとても個性的なイタリアワインが多く登場し、さまざまな美味しさを楽しめるようになってきました。今ではブームといってよいほどの人気です。
馬場さんは、こうしたワインがまだそれほど知られていなかった時代からその魅力を伝えてきた一人。
さて、昨年夏にヴェーリにはうれしい変化がもたらされました。それが筒井力丸シェフ就任のニュース。90年代からリストランテスカレッタで活躍したベテランシェフの参入は、馬場さん率いるヴェーリに新たなエッセンスをもたらしました。
おすすめはおまかせコース。
「季節感を大切にしたい」という筒井シェフは、食材の味を鮮やかに表現することにも長けています。
長く静岡の三島でお店をしていたこともあって、駿河湾からいい素材を仕入れることができるのも強み。ここ最近ではマルサラ酒で煮た穴子の料理が評判とか。もちろん筒井シェフのシグネチャーである「からすみと駿河湾産生シラスで和えた冷静フェデリーニ」も健在です。春の香りたっぷりの「帆立と花山椒のリゾット」も印象的な一品でした。
炭火であぶったフランス産の鳩は、部位によって微妙に火入れを調節しながら繊細に焼き上げています。ソース代わりの甘夏のマルメラータが爽やかさに鳩の旨みをひきたてます。
いっぽうこの日に馬場さんが紹介したワインは、初夏に飲んで欲しいというさわやかなフリッツァンテ。そしてもうひとつはイタリア時代に働いていた思い出のカンティーナ(ワイナリー)のクラシックなバローロです。
筒井シェフのベテランの円熟味を感じさせる料理と馬場さんのチャーミングなワインのセレクト。この出会いが、神楽坂ヴェーリをますます魅力的な場所に変えました。
Kagurazaka Veri
神楽坂 ヴェーリ
住所:東京都新宿区神楽坂6-24
電話:03-6280-7764
営業時間: 12:00~13:30(LO) 18:00~21:30(LO) 土曜・日曜・祝日12:00〜13:00LO 18:00~21:30(LO) ※2015年5月下旬より火曜のランチは休
定休日:月曜 祝日の場合は営業して翌日休
席数:20席(個室あり)
メニュー:ランチ:コース1,800円(平日のみ)、3,500円、6,000円 ディナー:コース5,800円、7,800円、1万800円
(取材&文・岡本ジュン 写真・貝塚隆)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税別価格です(2016年4月現在)