SUMAUレストランクルーズ
スペイン料理とロゼワインの
楽しいマリアージュ
【神楽坂】
レストラン激戦区の神楽坂に、またひとつ行きつけにしたいお店がオープンしました。カウンターを設えた気軽な雰囲気のここで味わえるのは、本格派のスペイン料理とロゼワイン。路地を入った坂の途中、というロケーションも隠れ家のようでワクワクします。
神楽坂にさっそうと現われた
新進気鋭のシェフがてがけるスパニッシュ
VOL.44 エスタシオン@神楽坂
一人でも気軽に入れるカウンターがあり、丁寧に手をかけた料理は洗練されているのにどこかホッとできる。ワインのセレクトにもこだわりを感じさせるけれど、飲み疲れしないものが主流で、リラックスしたい時にこそ行きたいレストラン。
こんなお店があったらいいな、と思っていたら、神楽坂にすでにオープンしていました。
2015年10月に開店した「エスタシオン」は、人気店「エルブエイ」の元料理人、野堀貴則さんが開いたスペイン料理のレストランです。
「バルの料理だけではない、スペイン料理を知って欲しい」という野堀さんは、スペイン各地を訪れて、郷土料理の奥深い世界に心を動かされたといいます。
そこで出会った郷土料理のレシピを再現しながらも、野堀さん自身のフィルターを通して、現代のスタイルにあった料理を表現しています。
看板メニューの「季節野菜の煮込み ハモンのカルド」は、伝統的な料理をモダンなプレゼンテーションで見せる一品。
農家から届く季節の野菜に火を入れてテーブルへ。そこにハモン(生ハム)の骨からとった熱々の出汁を注ぐと豊かな香りが立ち上り、食欲が喚起されます。
黄金の出汁は澄んだ滋味を含み、野菜に柔らかく寄り添ってくれます。
農家から届く有機栽培の野菜は、洋ものだけでなく大根やカブなど日本の野菜もふんだんに使われていて季節の移ろいを感じさせてくれます。
専用の鉄鍋で炊く「タコのメロッソ」もぜひ食べたい一品。こちらは、地中海に面したスペイン南東部ムルシア地方の料理です。日本で言えば「おじや」のようなお米料理で、生米を魚と海老、タコの出汁で水分を残して炊き上げています。
スペイン料理は塩分のメリハリがきいているものが多い印象ですが、野堀さんの料理はどれも素材の味をビビッドに生かしたしなやかで優しい印象。そんなところが食べるとホッとできる理由かもしれません。
こうした料理に合わせて野堀さんが用意したのはロゼワイン。実は「エスタシオン」は野菜料理とロゼワインがテーマなのだそう。
スペインのボデガ(ワイナリー)ではほとんどのところがロゼワインを作っていることもあって、スペイン料理とロゼワインはとても相性がいいといえます。
約20種類ほど揃えたロゼワインは多様で、しっかりタンニンがきいた軽い赤ワインのようなものからドライでスッキリした軽いもの、柔らかいロゼの微発泡など、飽きさせません。
寒さをくっきりと感じるようになってきたこの頃、白ワインではちょっともの足りないけれど、重たい赤ワインは気分じゃない。そんな夜にロゼという選択肢が豊富にあるのは素敵なことです。
「エスタシオン」は路地と路地を結ぶ階段坂の途中というロケーションも魅力的。隠れ家のようなレストランを探し当てるアプローチから、すでに心地よいディナーへの幕開けが始まっています。
estación エスタシオン
住所: 東京都新宿区神楽坂3-6 カーサピッコラ神楽坂1F
電話:03-5225-3808
営業時間: 18:00~24:00
定休日:日曜
席数:17席
メニュー:エスタシオン風サラダ1,300円、ハモンイベリコとパンコントマテ2,000円、自家製モルシージャと果物1,600円、帆立のパステルと野菜のプランチャ1,500円、仔羊の煮込み チロンドロン2,400円。グラスワイン700円~、ボトルワイン4,000円~
FB: https://www.facebook.com/estacionjp/
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤 タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税込価格です(2015年11月現在)