SUMAUレストランクルーズ
モダンとクラシックを食べる
ハイブリッドなプチフレンチ
【恵比寿】
秋の夜長、肩肘張らずゆるゆるとおいしいものを食べたい、飲みたい……。そんな気分にフィットする大人フレンチが恵比寿に登場。あの実力店のシェフが腕をふるう期待の新店です。
Vol.55 ici @ 恵比寿
軽やかにして印象に残る味わい
人気店のシェフが新店をオープン
秋が深まり、寒さが少しだけ深まってくると温かい料理が恋しくなります。
そんな夜に尋ねてきたいと思わせる小さなフレンチがici(イスィ)。
こちらでコースに必ず入っているのがパイ包み。岩田秀一郎シェフは
「何かひとつ熱々の料理を提供したい」と考えたといいます。
パイ包みの皿が運ばれてくると共に香ばしいパイの香りもやってきます。
ゴールデンブラウンに輝くパイにナイフを入れると湯気が立ち上り、
文字通り熱々で、胃袋も心もほっこりと和ませてくれる存在。
岩田シェフは人気店「ボノミー」で腕を振るっていたことでも知られる実力派。
スペシャリテのパイ包みのフィリングは季節ごとに変えているので、秋はポルチーニなどのきのこ、冬にはジビエ、夏は魚介などそれぞれお楽しみがあります。
店は夜9時まではプリフィクスコースのみで、21時を過ぎればア・ラ・カルトのオーダーも可能。これならワインと前菜、メインを頼んで遅めのディナーとしゃれこむにも便利そう。
玉ねぎのパイのモダンなプレゼンテーションで始まるプリフィクスコースは、少しずつ内容が代わっていきます。季節の野菜を2種の異なる仕立てで楽しむ本日の前菜、魚料理、プリフィクスの前菜と主菜、〆はデザート、チーズ、食後酒のどれかを選ぶスタイル。
デザートをパスして食後酒にしたり、ワインが残っていたらチーズを頼んでおつまみに、と自由度が高いのも普段使いにできるうれしい心配り。
料理は、モダンで軽やかな皿があるかと思えば、落ち着いたクラッシクに見える皿も登場するなど、両方の良さを知ってもらいたいと言う岩田シェフ。
ただし、一見クラッシクに見える皿にも、きちんとシェフ自身のフィルターを通すことで、
「東京で日本人が作るフレンチ」としての意味を常に意識しているといいます。
グラスでも、毎月のスペシャルなワインが開いたり、コースとのペアリングがあったり、とワインと楽しむための準備も万全です。
場所は駅前ほど騒がしくなく、ポツン、ポツンと上質な料理を出す店が点在する恵比寿と白金の間。
カウンター主体のお店は、オープンキッチンを横目で眺める配置で、
黙々と料理に取り組むシャイな岩田シェフとかしこまらないサービスの加藤さんという温かい雰囲気の二人の二人三脚に心が和む隠れ家です。
ici
イスィ
住所: 東京都渋谷区恵比寿1-26-12 サンライズヴィラ1F
電話:03 6885 3396
営業時間: 18:00~24:00(LO22:30)
※21:00まではコースのみ。21:00以降はア・ラ・カルトもオーダーできる。サービス料1人500円。
定休日:月曜
席数:12席
メニュー:プリフィクスコース5,800円。ワインはグラス800円~、ボトル約5,000円~。
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税別価格です(2016年10月現在)