SUMAUレストランクルーズ
クロスする文化のエネルギーが
シンガポール料理を面白くする
【淡路町】
秋の深まりとともにワインが恋しくなってきました。とはいえ、がっつり重たいビストロというよりは、もう少し軽めの料理が今の気分です。そこで、最近注目のシンガポール料理とナチュラルなワインが味わい深いレストランへでかけてみませんか?
じわじわ人気上昇中!
シンガポール料理はアジアの接点
Vol.42 シンガポールビストロ 松記鶏飯(ソン キー ジー ファン)@淡路町
文化の交わるところ美味しいものあり。
中国、インド、マレーシアの文化が複雑に絡み合うシンガポールも例外ではありません。
淡路町の路地、角を曲がると緑の葉が茂る開放的な店構えの松記鶏飯があります。
ここはワインとシンガポールのレストラン。黒板メニュー、オープンキッチンというモダンな雰囲気ですが、開け放たれた大きな窓にアジアのおおらかさを感じさせます。
シンガポールの料理は、中華だけでも福建、潮州、広東など地域色が豊かで、さらにインドは
南インドのゴアやケーララ、マレーシアなどがクロス―バーするまさにアジアのいいとこどり。
ここでは、アジアを放浪したこともあるという店主の松本裕介さんが、実際にシンガポールの路地裏までも食べ歩き、自分の舌で感じた味を提供しています。
ホッケンミー、キャロットケーキ、チキンライス、アチャール、ペーパーチキンなどなど。
松記鶏飯のメニューに並ぶのはシンガポールを代表するメニューばかり。
まだ日本人には馴染みが浅いけれど、どれも中華料理やインド料理など、お馴染みの国の料理のD
NAを感じさせてくれる親しみやすい味わいです。
「いろんな国から持ち込まれた料理が、時間の経過と共に変化して新しい料理が生み出される。
それがシンガポールの食文化の魅力です」と話す松本さん。
たとえば、香港や台湾で食べられる大根餅。中華料理では大根餅そのものを焼くのに対して、シンガポールでは卵と一緒に炒めるのが定番だそうで、「キャロットケーキ」という料理名がついています。
これ、屋台に卵を持ち込んで「一緒に炒めて」というリクエストから生まれたものだとか。
卵と一緒に食べてみると美味しかったことから、いつしか街に広まったと言われています。
料理に様々なストーリーが隠れている、というのもシンガポールという多民族国家の複雑さの表れです。
ワイン好きという松本さんが、料理に合わせたのはナチュラルな造りのヴァンナチュール。
リストは料理に合う白を中心に揃っていて、料理との相性もぴったり。
ちょっと新しい出会いを予感させるワインとシンガポール料理。クロスする文化が生み出す、
物語を知るには秋の夜長は最適な季節かもしれません。
シンガポールビストロ 松記鶏飯
ソン キー ジー ファン
住所:千代田区神田司町2-15-1 パレヤソジマ1F
電話:03-5577-6883
営業時間:11:30~14:00(LO13:30) 18:00~23:00(LO22:00)
定休日:日曜・祝日
席数:24席
メニュー:ランチ900円(税込)~、ディナー/パクチーサラダ620円、ペーパーチキン(4ピース)1,080円、ホルモンの潮州煮込み780円、クリスピーポーク980円
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は表記のないものは、税抜価格です(2015年9月現在)