SUMAUレストランクルーズ
銀座の空に解放された
秘密のサロンへようこそ
【銀座】

東京を代表する大人の街、銀座。そのとあるビルの屋上に現れた隠れ家は、食事やお酒はもちろん、音楽や絵画も楽しめるコンセプチュアルなサロン。この地に店を開いてもうすぐ100年、老舗画材店が始めた話題の店で、心地よい初夏のひと時を過ごしてみませんか。
老舗画材店・月光荘が開いたのは
時代の感性を持った人々が自由に交流する場所
Vol.38 月光荘サロン 月のはなれ@銀座
銀座のビルの上に、離れ小島のように静かで、開放的な小さなサロンがあります。
エレベーターはなく、5階までの階段をひたすら上ると、いきなり目の前が開けて
樹木と空が飛びこんできました。まるで都心からスリップして、秘密の庭にたどり
着いたかのようなこの光景に、思わず目をパチパチさせてしまいます。
「大空の月の中より君来しやひるも光りぬ夜も光りぬ」
与謝野晶子がそう詠んで、名づけたという「月光荘」は、大正6年創業。
ホルンのマークの画材店として知られています。月光荘の創業者・橋本兵蔵さんは、
与謝野晶子にかわいがられ、与謝野夫妻を中心にした文化人たちとも交流がありました。
彼らに背中を押されるようにして開いたのが月光荘だったといいます。
看板の「月光荘」の文字も与謝野晶子の直筆によるものです。
月光荘は2年後に100周年を迎えます。その節目に向けて、
2013年に「月のはなれ」をスタートしました。当時の文化サロンのように、
時代の感性を備えた人が集い、そこから何かが始まるような場所になれば、
ここにはそんな願いが込められています。
平日は午後2時、土曜は朝11時半からオープン。
樹木が風にそよぐテラスは都心とは思えない静かさで、ミストシャワーがあるので、
真夏でも思いがけず快適に過ごせます。生ビールとサイドメニューが
セットになった「昼下がりのほろ酔いセット」は夕方5時までのお愉しみ。
スケッチブック(500円)を購入すると貸し出してくれる「お絵かきセット」で、
思いのままに絵をかいてみるのもいい時間の過ごし方かもしれません。
毎晩20時から始まるいろんなジャンルの生演奏が、
サロンらしい雰囲気を盛り上げます。
夜はオリジナルカクテルを始め、アルコール類やコーヒー、
食事からおつまみまで揃っているので、カフェやレストラン、バーとしても使い勝手は自在。
明治の頃、文化の発信地であった銀座。
小さいけれどいろいろ詰まった空間には、そんな時代の空気が漂っています。

壁には絵がぎっしり。中にはギャラリーの作家ものがあり、
気に入ったら購入できる

唐揚げ 680円 フレッシュトマトのブラッディ・メアリー 1,200円
お酒のあてにぴったりの唐揚げは、フルーツトマト100%の
トマトジュースにフレッシュトマトを加えたブラッディ・メアリーと。

鶏と梅ジュレのぶっかけそうめん 750円
コシがしっかりした島原の手延べそうめん「萬兵衛」に、
出汁と梅ジュレをかけてさっぱりと。

与謝野ブルームーン 1,200円
「うすむらさきの酒うつくしき」と与謝野晶子が歌に詠んだ酒は、
ブルームーンではないかという逸話から名づけられたオリジナルカクテル。

貸し出しされるお絵かきセット。スケッチブックを購入して楽しんでみたい。

ここまでくればあと23段!
というところで、ポスターに励まされる。
月光荘サロン 月のはなれ
住所: 東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル5F
電話:03-6228-5189
営業時間: 14:00〜23:45 土曜11:30~23:45
定休日: 日曜・祝日(貸切営業はあり)
席数:28席
メニュー:ノンアルコール600円~、アルコール800円~、オリジナルカクテル850円~、ランチ:1,100円~、夜:おつまみ500円~
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。
※掲載価格は税込価格です(2015年5月現在)