SUMAUレストランクルーズ
自然のリズムを感じる
島で出会った豊かな味
【白山】
春の訪れを一歩一歩感じるこの季節、太陽の明るさにも似た心温まるイタリア・シチリアの郷土料理を楽しんでみませんか。今回紹介するのはシチリアの港町、ミラッツォの味に惚れ込んだシェフが文京区・白山に開いた、その名もずばり「シチリア屋」。本場の本格的な料理を気さくな雰囲気のなかで味わえる注目のレストランです。
シチリアの港町の料理と風景を届ける
住宅街にできた小さなレストラン
Vol.35 シチリア屋@白山
オレンジ、レモン、オリーブ、アーモンド。イタリア南西部の地中海に浮かぶ最大の島シチリア
は、南国の香りに満ちています。
シチリア屋のシェフ大下竜一さんは、シチリアの中でも、ティレニア海に突き出た半島にある、
ミラッツォという港町で修業しました。自然が豊かで美しい海に恵まれたこの街は、奥深く力強い
食文化をもっている場所だったといいます。
「イタリアに行く前から、なぜかシチリアだという確信がありました」という大下さん。
行ってみると、花の香りや空の青さは想像通り。思った以上に素晴らしい気候と風土で、毎日が楽しくてしかたなかったそう。
シチリアの郷土料理を突き詰めたいと考えていた大下さんですが、街ごとに文化が異なる島で暮らす間に、腰を落ち着けてミラッツォの料理を追求する方向へと気持ちが固まりました。
そうやって吸収してきた美味しさを、東京でどう表現するのか。考えた末の結論がシチリア屋の原点。
ミラッツォの料理を伝えるために、どうしても食べて欲しいメニューがありました。
その料理とは、地元で定番の乾燥空豆のズッパ(スープ)とレモンのサラダ。
レモンのサラダは、爽やかな風が抜けるようなすがすがしい美味しさ。シンプルだけど滋味豊かな
ズッパも島では欠かせない料理です。
そこで、ア・ラ・カルトではなく、コース仕立ての「シチリアセット」で食べてもらおうとい
う作戦になりました。もちろん、メインディッシュは追加で好きなものをオーダーできるように、
単品メニューも用意しています。
素朴な煮込み料理やパスタなど、どれもいかにもイタリアの小さな町で出てきそうなものばかり。
港町から日本へ伝わった自然の営みを感じさせる味を、大下シェフが優しく育てています。
住宅街に灯りをともす小さな店は、一歩入るとシチリアの海を思わせる深いブルー一色。
幸せそうに料理を食べる人々がいて、食堂のように気の置けない温かい空気に満ちています。
シチリア屋
住所: 東京都文京区白山1-5-5 MC白山ビル1F
電話:03-5615-8713
営業時間: 12:00~14:00(LO13:30) 18:00~23:00(LO22:00)
定休日:月曜※月1回の連休あり
席数:25席
メニュー:シチリアセット3,000円、ドルチェ400円~、パスタ1,200円~、セコンド1,800円~、ハウスワインボトル3,000円~、
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
出版社勤務を経てフリーに。レストラン、料理、旅行、ライフスタイル、健康などのジャンルで取材を中心に執筆。とくに飲食店、生産者、ワイン、日本酒など、食べ物に関する取材は15年以上に渡って数多く担当。おいしい料理とお酒には逆らわない。元利き酒師。
※掲載価格は税抜き価格です(2015年2月現在)