SUMAUレストランクルーズ
魚をテーマに展開する
現代的なフレンチの皿の数々
【南青山】
まだまだ衰えない肉ブームの裏側で、魚がテーマのレストランが増えています。そんなレストランの中でも、名店出身のシェフが出したことで話題を集めるこちらの新店をご紹介。
魚が美味しくなるこれからの季節にぴったり!
東京フレンチのニューアドレス
VOL.43 Abysse@南青山
店名の「アビス」はフランス語で“深海”という意味。
扉を開けると、深海を漂うようなミステリアスでもの静かな空間が広がっています。
シェフは目黒浩太郎さん。南仏マルセイユにある魚介料理が有名なレストランで腕を磨き、
帰国して名店「カンテサンス」を経て2015年3月に「アビス」をオープンさせました。
「やるなら、他にないオリジナリティのあることをやりたかった」と目黒シェフはいいます。
そこで、魚料理が得意という強みを生かし、「アビス」では魚介を使ったメニューに特化することにしたといいます。おまかせコースは昼、夜ともにひとつだけ。
昼は6皿、夜は10皿という構成で、魚介メインの料理が運ばれてきます。
スペシャリテは「スープ・ド・ポワソン」。
カサゴなどをメインに10種類の旬の魚のエキスを抽出したスープは、濃厚な海の香りを漂わせていました。
目黒シェフが好んで使うのは、味が濃厚な岩礁にいる小さな魚たち。個性豊かな10種類の魚の旨みが絡み合うスープに、オレンジを丸ごと加えて爽やかで洗練されたテイストに仕上げています。
「フランスと比べて、日本は魚の種類が圧倒的に多い。そこが面白いところです」
と話す目黒シェフ。北から南まで幅広い地域の魚を扱うが、フランスと比べると、日本の魚は
淡白な印象があると言います。
どんな調理法ならそんな日本の魚の魅力を引き出せるのか。
今はそれをひとつひとつ解きほぐしていくことが楽しくてたまらないといいます。
また、天然の魚は、同じ地域に住む同じ種類でも食べているものや住んでいる場所で身のしまり具合から味の深さまで個体差が大きいといいます。魚の状態を見極め、それぞれの個体に合った火入れや味付けをほどこしていくのも、料理人としての楽しみのひとつ、と目黒シェフは目を輝かせました。
寒さが増して魚が美味しくなるこれからの季節には、どんな料理と出会えるのか楽しみが
尽きないアビス。
名店出身ということもあり、早くもニュースが広がっているので予約はお早めに!
Abysse
アビス
住所: 東京都港区南青山4-9-9 AOYAMA TMI 1F
電話:03-6804-3846
営業時間:12:00〜13:30(LO) 18:30〜20:30(LO)
定休日:水曜
席数:16席
メニュー:ランチコース4,500円、ディナーコース9,000円 ※サービス料5%
(取材&文・岡本ジュン 写真・貝塚隆)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税別価格です(2015年10月現在)