SUMAUレストランクルーズ
東京出店で噂を呼ぶ
パリの老舗熟成肉ビストロ
【西麻布】
2016年4月、西麻布に熟成牛肉専門のパリの老舗ビストロ「ル・セヴェロ」がオープン。東京の肉好きグルメの間で、今もっとも「行きたい」と話題をさらっています。
熟成肉の専門店が手掛けるステーキは
パリで食べる味そのまま
Vol.50 Le Severo Japon,@西麻布
ステーキの皿がテーブルに運ばれてくると、かぐわしい芳香が立ち上って幸せな気持ちになりました。
これは、いわゆる肉を焼いたときの食欲をそそる香りとはまた別物。
「いい熟成肉の香りです」とシェフの柳瀬充さんは言います。
熟成肉でよく言われる“ナッツのような”香りは、肉を熟成して旨みを凝縮することで生まれます。
ル・セヴェロは、パリの老舗ビストロで極上の熟成肉を使ったステーキが有名。世界中の肉好きに注目されている場所です。そのル・セヴェロが海外初の支店を東京に出店。これはニュースです。
シェフを務めるのは、パリでル・セヴェロのステーキに出会って感銘を受けたという柳瀬さん。パリの3つ星レストランなどで働きながら、ル・セヴェロの肉の解体から熟成、調理の技術を学んだといいます。
牛肉はフランス産のバザス牛を始め、アメリカ産のアンガス牛や国産の交雑牛など。肥育日数が30ヵ月以上と長く、日本では珍しい出産経験のある経産牛を使うことが多いそう。経産牛は脂と赤身がしっかりと混ざり合っているので、肉質が熟成に向いているといいます。
骨付き肉は1~2度という低温で、湿度を管理しながら6週間ほど熟成させています。牛にも個体差があるので、最も難しいのは熟成を見極めることですが、最適な熟成をかけることによって旨み成分が凝縮し、焼き上げると前述のようないい香りを漂わせるのです。
メニューはステーキだけでありせん。「シャルキュトリーの盛り合わせ」や「ブーダンノワール」、肉々しい「パテ ド カンパーニュ」など、前菜にはオーソドックスなビストロ料理が並び、まさにパリのお店らしい雰囲気です。
ステーキのスぺシャリテは「熟成牛のサーロイン」。約1.2kgの骨付きリブロースを30分かけてじっくり火入れしたこの料理は、パリのル・セヴェロでも人気の一品。
ほかに、フランス・ボルドーの銘柄牛バザス牛のランプやハラミ、アンガス牛、国産牛などそのときによってさまざまな肉が食べられます。
また、ル・セヴェロはステーキの焼き方も独特。
フライパンだけを使い、外側はしっかりと焼き色を付けてカリッと香ばしく、中は余熱で火を入れてしっとりと。大きな塊で焼くことで肉本来の美味しさが引き出されるといいます。
そのままでも肉の濃厚な旨みと香りを持つ熟成肉には、あえて下味はつけず焼き上げてから最後に粒塩をぱらりと。こうすることで肉の味をさらに引き出す効果があるそう。
「熟成した肉の香りがスパイスです」と柳瀬さん。
きちんと熟成させた肉は脂が軽いので、意外なほどペロリと胃に収まってしまいます。
肉好きならずとも、これは一度は食べてみたいステーキです。
Le Severo Japon ル・セヴェロ・ジャポン
住所:東京都港区西麻布4−2−15 水野ビル1・2F
電話:03−6427−1384
営業時間: 12:00〜15:00(LO 14:00) 18:00〜23:30(LO 22:00)
定休日:日曜・祝日
席数:25席
メニュー:ランチセット2,500円、シャルキュトリー盛合せ1,800円、クリスチャン・パラ”のブーダンノワール2,100円、熟成豚ロース3,500円、仏産ブランド牛“バザス”のハラミ4,500円など
HP : http://severo.jp/
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税込価格です(2015年5月現在)