SUMAUレストランクルーズ
世界ナンバー1レストランで出会った
トリオが創り上げる魔法の小箱
【要町】
大事な人たちと大切な時間を楽しむために訪れたいダイニング&バーまで。
お料理はもちろん、空間、雰囲気、おもてなしまでSUMAU読者の感度にフィットする
“とっておき”レストランへとナビゲートします。
text by Jun OKAMOTO
Photographs Takemi KATO
3人の才能がスパークして生まれる
クリエイティブで魅力的なディナー
VOL14 81@要町
世界一予約のとれないレストランとして知られたスペインの「エル・ブリ」。世界中からゲストが集まるこのレストランでは、そのスピリットと料理を学ぼうと、研修生が世界中からやってきました。
チリ出身のシェフ・フランシスコさん、メキシコ出身のソムリエール・ジュリエッタさん、「81」のオーナーシェフである永島健志さんの3人は、2008年にエル・ブリで出会ったといいます。そして2012年、永島さんの呼びかけで東京に集結し、11月に「81」をオープンしました。
地下への階段を降りると、タイトで親密な空間がレストランになっています。コンパクトで無駄のない調理台は舞台装置のように視線を集める位置にあり、間隔をゆったりとったシートはわずか8席。
「キッチンの中にテーブルがあるというイメージなんです」という永島さん。その言葉通り、テーブル席にいながらにして、まるでカウンターに座っているかのような臨場感を味わえます。
コースはワインとのペアリングで1種類のみ。クオリティを下げないために食事はいっせいに19時スタート。すべては「妥協しないで最高のものを出すための決断」といいます。
ふたを開けたときに広がる香りを楽しむ「香りのポット」、干したエビや海苔など磯の香りをオブラートで包んだ「小さなタコス」など、次々と現れる料理のどれもが食への好奇心を刺激します。そして、味わうことの奥深さを喚起してくれます。
彼らがエル・ブリで学んだのはレシピではなく、料理に対する考え方やアプローチ。突き詰めればそれは、素材と向き合い、食べる楽しみを皿に盛り込むことでした。国籍が異なる3人のバックボーンがせめぎあい、新しい世界を創造していくことが「81」のテーマだといいます。
世界中でどんどん切り開かれているガストロノミーの境地を、東京にいながらにして味わえる「81」。爽やかで気持ちのいい初夏の夜に、そんな刺激的で幸福なディナーを通して、フレッシュな食の世界を体験してみるのはいかが?