SUMAUレストランクルーズ
発酵パワーが体に優しい
中国少数民族の伝統食
【麻布十番】
大事な人たちと大切な時間を楽しむために訪れたいダイニング&バーまで。
お料理はもちろん、空間、雰囲気、おもてなしまでSUMAU読者の感度にフィットする
“とっておき”レストランへとナビゲートします。
text by Jun OKAMOTO
Photographs Takemi KATO
中国料理のイメージを覆す素朴で力強い発酵食が
からだとこころに元気を与えてくれる
Vo.10 ナポレオンフィッシュ@麻布十番
どこの国であっても、長年食べ継がれてきた伝統料理は体に優しく飽きがこないもの。チャイニーズ・レストランとしてはちょっとユニークな店名を持つ「ナポレオンフィッシュ」では、中国の貴州省、雲南省、広西省など、聞いただけでは想像もできないような知られざる地方の伝統料理を提供しています。
大豆を発酵させた貴州省の納豆や漬物、発酵調味料を駆使した料理は、体の内側から元気になる発酵パワーを秘めています。唐辛子を多く使うので辛い料理も少なくありませんが、全体には油が控えめで、野菜をふんだんに使った日本人にも食べやすいあっさりした味わい。
シェフの小山内耕也さんは、中国料理を学ぶうちに、地方の伝統食や少数民族料理の奥深い魅力に目覚めたといいます。現地に飛んで実際に料理を学び、日本人がまだ知らない味を紹介していきたいとこの店を開きました。
オープン以来の名物は、店名にもなっている「ナポレオンフィッシュ」。中国では高級魚として知られる「ナポレオンフィッシュ」は、適度に脂がのって身はふんわりと柔らかく上品なおいしさ。こちらでは沖縄から直送される天然ものを使い、発酵させた唐辛子と一緒に蒸す湖南省風の料理に仕上げています。
ほかにもバナナの葉で具材を包んで焼いたり、ベーコンのような発酵させた干し肉を使うなど、多種多様なメニューがいっぱい。ほとんどが初めて目にするものばかりで楽しませてくれます。
食事に合わせたいのは紹興酒に代表される「黄酒」。これはコーリャンなどの穀物から造られるすっきりした味わいのお酒。また大きなセラーにワインも豊富に揃っているのでワイン好きも満足できそう。
今までの中国料理というイメージを吹き飛ばす、発酵調味料を取り入れた少数民族の伝統食で、まだまだ厳しい寒さが続く季節をからだの中から元気に過ごしましょう。