SUMAUレストランクルーズ
2013年、彗星のごとく
銀座に現れたパリの名店
【銀座】
大事な人たちと大切な時間を楽しむために訪れたいダイニング&バーまで。
お料理はもちろん、空間、雰囲気、おもてなしまでSUMAU読者の感度にフィットする
“とっておき”レストランへとナビゲートします。
text by Jun OKAMOTO
Photographs Takemi KATO
フレンチの名シェフが教えてくれる
レストランでの優雅な時間の過ごしかた
Vol.21 レストラン ドミニク・ブシェ@銀座
2013年もあとわずかとなりました。今年を振り返って、レストランの世界ではフレンチに勢いがあった年といわれています。そんな中、またひとつ東京に素敵なレストランが誕生しました。それが「レストラン ドミニク・ブシェ」。
シェフのドミニク・ブシェ氏は、ジョエル・ロブション氏の右腕として活躍した後、いくつものミシュラン星付きレストランでシェフをつとめた華やかな経歴と素晴らしい実力の持ち主。10年前に、自分の目が行き届く隠れ家を作りたいという願いから、あえて小さなレストラン「ドミニク・ブシェ」をパリにオープンさせました。そこでは、今までのガストロノミーの世界から解き放たれて、もっと自由に料理を楽しむようになったといいます。
そして2013年夏、パリの店と同じエスプリを持つ「レストラン ドミニク・ブシェ」が銀座に開店しました。ブシェ氏は日本と縁が深く、ここ30年間で何度も何度も訪れているそう。そして出会ったのが現在のレストランがある空間。ひとめでこの場所を気に入ったブシェ氏は、ここでレストランを開くことを閃いたといいます。
地下2層に分かれた空間は、下がレストラン、上は「ドミニク・ルーム」と名付けられたラウンジのようなカフェです。ゲストはまずカフェへと通され、ここで一呼吸おいてから天井の高いレストランへと降りて行きます。
カフェだけの利用もOKで、とくにシャンパーニュと5種類のタパスが楽しめる午後6時からのシャンパーニュタイムはおすすめ。シャンパーニュを愛するブシェ氏は、シャンパーニュメゾンで、オリジナルのシャンパーニュも作っています。
ラウンジのように静かな空間のなか、シャンパーニュで一呼吸いれるのもちょっといい使い方かもしれません。
ドミニク・ブシェ氏の料理は、正統派のクラシカルなフレンチ。ソースを重要な要素と捉えているところもゆるぎません。それでいてどっしり重いということはなく、深みはあるのに軽やか。素材の味を最大限に表現するために、調味料や脂を必要最低限に抑えるなど、丁寧な仕事で繊細に味わいを作り上げているのです。また東京のレストランでは、ポーションを適正にしたり、野菜をよりたくさん使うなど、日本人の感性に合わせたアレンジが施されています。
上質な空間に、温かみと華やかさを兼ね備えた雰囲気、そして繊細で美しい料理。特別な相手との食事が多いこのシーズンにこそ、ここは訪れる価値のある場所といえます。
季節野菜のエチュベ アルガンオイル風味 山のハーブを添えて
3,900円
その日に届く野菜を、ひとつひとつおいしい調理法で火を入れ、最後にアルガンオイルで和えたスペシャリテの前菜。
牛テールの赤ワイン煮込み 「ミレニアムカップ」
5,600円
クラシックな赤ワイン煮込みだが、プレゼンテーションはモダンに。
煮汁のように見えるのはソースでさらりと上品で軽い。付け合わせの野菜はカップで登場。
お好みで黒いカップに盛られたじゃがいものピュレを加える。