SUMAUレストランクルーズ
料理はエレガント、雰囲気はカジュアル
そのミックス感が新しい
【初台】
生命力にあふれた食材の力を
洗練された技で皿に写し取る
Vol.33 Anis(アニス)@初台
キッチンがごちそう。アニスを訪れるとそんな言葉が浮かんできます。
オープンキッチンは舞台のようにどこからでも見える位置にあり、
中央に置かれた調理台ではシェフの清水将さんとスタッフがきびきび働く姿が見えます。
キッチンを眺めているだけで、料理を待つ時間もワクワクしてきます。
清水さんは、フランスの三つ星レストラン「アルページュ」などで最先端のフレンチを
学び、銀座「ラール・エ・ラ・マリエール」のエグゼクティブシェフを勤めた実力派。
その洗練された上質なレストランの料理と、気取りがない雰囲気が同居しているのが
アニスの魅力です。キッチンを取り囲むようにカウンターを配置し、
木の温もりが優しい家具は温かみを漂わせています。
上質なカトラリーにお箸が添えられているのもごく自然な感じで、
親密な空気がレストラン全体を包んでいます。
主役となるのは、繊細な火入れが独特な肉料理。“火入れの魔術師”と言われた、
「アルページュ」のアラン・パサール氏に学んだことをベースに、
アニスでは清水さん独自のスタイルにたどり着いたと言います。
鉄板の上でクルクルと塊肉を転がしながら、ごく低温でじっくりと。
ものによっては4時間もかけるというから、そのテクニックはとてもデリケート。
焼きあがった肉は優しくしっとりとしていて、調理によって引き出された
旨みを鮮やかに感じさせます。
肉料理がメインといっても、メインディッシュのお皿には、
付け合せの野菜が色とりどりに並び、実はコース全体を通しては野菜たっぷりというのも特徴。
コースの最後は大きなボウルいっぱいのサラダで締めくくられます。
肉料理が主役ですが、健康にもよく、お腹いっぱいでも重くならないように、
と考えられています。
素材の滋味豊かで繊細な清水さんの料理。それに合うようにと考えられたワインは、
アルザスやジュラなどの複雑で味わい深い産地のものが中心。
料理とワインをマッチングするワイン・デギュスタシオンも用意されているので、
料理とのマリアージュがさらに楽しめます。
ご近所ダイニングとしても使える気軽さを持ちながら、完成度の高い料理とワイン。
次世代を感じさせるこのスタイルに注目です。
Anis
住所:東京都渋谷区初台1-9-7-1F
電話:03-6276-0026
営業時間:11:30~14:30 18:00~23:30
定休日: 月曜、第2日曜
席数:34席
メニュー: ランチは1,500円と3,800円。ディナーコースは5,500円、9,500円。ア・ラ・カルト1,500円~、グラスワイン1,000円~、グラスシャンパーニュ1,200円~、ボトルワイン4,000円~
(取材&文・岡本ジュン 写真・貝塚隆)
PROFILE 岡本ジュン
フリーランスエディター・ライター。レストラン、料理、旅行、ライフスタイル、健康などの取材を中心に執筆。とくに飲食店、生産者、ワイン、日本酒など、食べ物に関する取材は15年以上に渡って数多く担当。モットーは“おいしい料理とお酒には逆らわない”。
※掲載価格は税別価格です(2014年12月現在)