SUMAUレストランクルーズ
滋味が豊かに香る北イタリアの料理を
話題の人気リストランテで
【神谷町】
大事な人たちと大切な時間を楽しむために訪れたいダイニング&バーまで。
お料理はもちろん、空間、雰囲気、おもてなしまでSUMAU読者の感度にフィットする
“とっておき”レストランへとナビゲートします。
text by Jun OKAMOTO
Photographs Takemi KATO
北イタリア・トレンティーノ アルトアディジェの味を
日本の四季の食材から繊細に紡ぎだす
Vol19 ダ オルモ@神谷町
ヨーロッパの田舎では、周辺の景観に自然に溶け込んだ居心地のいいレストランと出会うことがあります。そこは、腕利きのシェフが、地元に愛される料理を提供する名店であることがしばしば。ダオルモに足を踏み込むと、そんな情景が思い出されました。
半地下にあるフロアは、手前に大きな窓があり、その先はキッチンを見渡せるカウンターとテーブル席へと続きます。店内は清潔感のある真っ白い壁が印象的で、ランチには、窓辺の緑と差し込む陽光が和やかな雰囲気を漂わせます。
ダオルモのオープンは2012年秋とまだ1周年を迎えたばかりですが、実力派のシェフ北村征博さんと、ソムリエの原品真一さんのコンビが開いたレストランとして、オープン当初から注目されてきました。
ダオルモの料理は、北村さんが修業したイタリア北部、トレンティーノ アルトアディジェ州を中心に構成されています。
「調理法はイタリアのまま、食材はなるべく国産で」というのがシェフの考え方。毎日築地に通って仕入れる魚介を始め、高品質の熟成肉など、ひとつの食材を選ぶにも真摯な目線で取り組んでいます。
奇をてらわずに食材と向き合う姿勢は、皿の隅々へとまっすぐに届いています。ディナーは、前菜、パスタ、メイン、デザートというコースのほか、ア・ラ・カルトで食べられるのもうれしい限り。
さらに、料理と並んで楽しみなのが、名物ソムリエである原品さんにワインをおまかせできること。入口近くの大きなウォークインセラーから、魅力的なエチケットがのぞき見えるのが、ワイン好きにとってはたまらない誘惑です。
セラーに眠るのは、イタリア全土からセレクションした、生産者の顔が見えるワインたち。個性あふれるものから、バランスのいいものまで幅広く揃っています。
グラスワインは赤・白各3種類ずつ用意されていますが、リクエストがあれば、違うワインでも快くグラスで提供することも可能。その懐の深さが、ワインラバーの心をがっちりとつかんでいます。
店名の「オルモ」はイタリア語で「けやき」のことで、「ダオルモ」とは「けやきのあるところ」という意味。一年が過ぎて、しっかり根を下ろしたダオルモは、まさに大きな枝を伸ばした木のように、訪れる人たちを温かく迎える場所になっています。
前菜盛り合わせ
上から時計回りに、干し鱈のブルスケッタ、五島列島のスマガツオのわら燻製、
ホタテの涼拌茶、熟成但馬牛カメノコのカルネサラータ、さんまのコンフィ、
中央はカプレーゼ。ディナーコース6,500円より。
ポルチーニ茸の自家製リガトーニ
全粒粉を加えた手打ちのリガトーニは、かみしめるほどに粉の味わいがするしっかり
とする。バターとチーズの濃厚なソースによく合う。秋の味覚の代表、ポルチーニ茸を
たっぷりと。ディナーコース6,500円より。
仔羊の炭火焼 季節のソテー添え
北海道の信頼できる生産者が育てた仔羊は、クセがなく、きれいな味わい。
柔らかで、かみしめると上品な肉の旨みがあふれ出る。ディナーコース6,500円より。