SUMAUレストランクルーズ
東京エスニックの最前線
ナチュラルで美しいネワール料理
【新大久保】
2016年、東京の食シーンはより細分化する方向にいくのかも? そんな兆しを予感させる新店の登場です。オープン3ヶ月にして早くも注目の的になったネパールに住むネワール族の本格料理はピュアで美しい味わいが心を癒します。
Vol.47 ナングロガル@新大久保
始めて出会うのにどこか懐かしい
葉っぱのお皿の素朴な味わい
どこの街にも”食”の流行があります。ロンドンでモダンインディアが流行ったり、NYで
コリアンが来るといわれたり、東京の2016年もホットな話題がこれから始まりそう。
で、ただいまネパールのカトマンドゥで大人気というのがネワール族の「ネワール料理」。
「ネワール族はもともとカトマンドゥに住んでいた民族なんですよ」。とニコニコと話すのは
ナングロガルの店長サッチンさん。
ネパールは多様な民族国家だそうで、民族ごとに文化や料理は異なるといいます。
「ネワール料理はおつまみが多いので、そんなところが人気なんです」とサッチンさん。
実は、来日して一番困ったのはネワール料理が食べられなかったこと。
そこでいつか日本にいるネワールの人たちのためにお店をやりたいと思っていたそうです。
その夢がかなって2015年12月、新大久保にネワール料理のレストランをオープンしました。
前述のような思いがあったので、ネワール人のためのお店のつもりだったそうですが、美味しい料理と新鮮な驚きが話題を呼んで、いつのまにか日本人も多く来るようになっていたとか。
「実は一番びっくりしているのは僕です」と笑います。
代表メニューは「サマエボウジセット」。ネワール族が使う「タパリ」という葉っぱのお皿に伝統的な料理を盛り合わせたもので、ネワール族のパーティでもよく食べられているポピュラーなメニューです。
まずびっくりするのは、ご飯ではなく「チウラ」という干飯で食べること。これは昔、畑などに持って行った名残だそう。腐りにくく移動に適したメニューになっているのです。
スパイシーなラムの炒め物やじゃがいものドライカレーはかなりホットな味わい。
大根のアチャール(漬物)、ほうれん草、2種類の豆料理にスライスジンジャーなど、どれも脂っこくなくさっぱりしていて素材感がナチュラルに感じられます。
上にのっているパンケーキは「バラ」という豆の粉を焼いたもの。ゆで卵はスパイスに漬けてあります。全体的にターメリックを使う料理が多く、シャープに辛い料理と全く辛くない料理がバランスよく入っていて、お皿の中でよく混ぜて食べるとおいしさ倍増です。
そして、最後はセットについてくるパウーワを飲みます。これは発酵した酸味のある独特な味わいで、飲むと消化を促進してくれる効果があるものだそう。
過熱するカレーブームで、本格的なインド料理やネパール料理が飽和状態の東京では、ネパールの民族料理店は新しい発見。
ここでは他民族国家に思いをはせながら最先端の東京エスニックを味わって。
ナングロガル
住所: 東京都新宿区百人町1-17-10 常陽第2ビル2~4F
電話:03-6304-0933
営業時間:11:00~23:00(L.O.)
定休日:無休
席数:66席
メニュー:カレーセット600円、ダルバートセット900円、タカナリ族の料理セット1,500円。前菜オール350円、ネパール特別料理多数。生ビール350円、ハイボール430円~、グラスワイン400円
(取材&文・岡本ジュン 写真・加藤タケ美)
PROFILE 岡本ジュン
“おいしい料理とお酒には逆らわない”がモットーの食いしん坊ライター&編集者。出版社勤務を経てフリーに。「食べること」をテーマに、レストラン、レシピ、旅行などのジャンルで15年以上に渡って執筆。長年の修業(?)が役に立ち、胃袋と肝臓には自信あり。http://www.7q7.jp/
※掲載価格は税込価格です(2016年2月現在)