注目のデザイン
節(ふし)とは、板の表面に現れる枝の断面。本来であれば世に出ることのない節を活かした「HIROSHIMA」は
個性的なアームチェアだ。節は木が生きてきた証でもある。
敢えて「規格外」の素材を個性として活かした
オンリーワンの椅子「ふしとカケラ」
伊勢丹新宿店で開催されるISETAN DESIGN WEEK2013でもっとも注目したいのが、「ふしとカケラ」だ。
プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインしたアームチェア「HIROSHIMA」をベースにした、今回のイベント限定のプロダクトである。
「HIROSHIMA」は、精緻を極める日本の家具づくりの技術を使い、現代デザインを積極的に採り入れたプロダクトをリリースし続ける広島の家具メーカー「マルニ木工」の定番コレクションの一作。
背もたれからアームにかけての滑らかな曲線、やわらかな木の質感は、ハッとするような美しさとアイデンティティを持ちながら、主張しすぎることがない。時を重ねた空間にも現代的な空間にもスッと溶け込む。
天然木は生き物だ。木目の文様はそれぞれちがうし、「節(ふし)」だってあるのが当たり前。それが木の味わいだとも言える。
だが、通常、プロダクトの材料となる木材には節がない。素材の均質化を図り、生産効率をあげるため、製材の過程で排除されてしまっているのだ。
今回の限定モデルでは、あえて節のある材を採用している。シート地はミナ ペルホネンのオリジナルテキスタイルによるパッチワーク。
布地を断裁した際に出る「カケラ(=はぎれなどの余り布)」を使っているので、「ふしとカケラ」という、かわいらしいけれど家具っぽくない名前がつけられた。
規格はそろっているので並べたときの統一感はあるが、よく見ると1脚ごとにほんとうに表情がちがう。大人の遊び心とモノづくりの精神がギュッと凝縮されている。
伊勢丹新宿店本館1階「ふしとカケラ」展で、たくさんの「ふしとカケラ」をぜひ見比べてみてほしい。
経年変化によって擦れたところから別の色が出てくる、ミナ ペルホネンのオリジナルファブリック「OTTO」。
アームチェア「HIROSHIMA」とチェスト。端材の表情をいかすため、形状は極めてシンプルに仕上がっている。
天板と口板部分に端材をパッチワークしてつくったチェスト。
ISETAN MITSUKOSHI DESIGN WEEK 2013
「HAND MADE BY / FOR ME」
会場:伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越
会期:10月23日(水)~11月5日(火)
「ふしとカケラ」
MARUNI COLLECTION HIROSHIMA with minä perhonen
会場:伊勢丹新宿店 本館1階=ザ・ステージ
住所:東京都新宿区新宿3-14-1
電話:03-3352-1111
会期:10月23日(水)~10月29日(火)
ミナ ペルホネン・皆川 明氏によるプロジェクト
のロゴ。