注目のデザイン

2013.10.15

節(ふし)とは、板の表面に現れる枝の断面。本来であれば世に出ることのない節を活かした「HIROSHIMA」は

個性的なアームチェアだ。節は木が生きてきた証でもある。

 

敢えて「規格外」の素材を個性として活かした

オンリーワンの椅子「ふしとカケラ」

 

伊勢丹新宿店で開催されるISETAN DESIGN WEEK2013でもっとも注目したいのが、「ふしとカケラ」だ。

 

プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインしたアームチェア「HIROSHIMA」をベースにした、今回のイベント限定のプロダクトである。

 

「HIROSHIMA」は、精緻を極める日本の家具づくりの技術を使い、現代デザインを積極的に採り入れたプロダクトをリリースし続ける広島の家具メーカー「マルニ木工」の定番コレクションの一作。

 

背もたれからアームにかけての滑らかな曲線、やわらかな木の質感は、ハッとするような美しさとアイデンティティを持ちながら、主張しすぎることがない。時を重ねた空間にも現代的な空間にもスッと溶け込む。

 

天然木は生き物だ。木目の文様はそれぞれちがうし、「節(ふし)」だってあるのが当たり前。それが木の味わいだとも言える。

 

だが、通常、プロダクトの材料となる木材には節がない。素材の均質化を図り、生産効率をあげるため、製材の過程で排除されてしまっているのだ。

 

今回の限定モデルでは、あえて節のある材を採用している。シート地はミナ ペルホネンのオリジナルテキスタイルによるパッチワーク。

 

布地を断裁した際に出る「カケラ(=はぎれなどの余り布)」を使っているので、「ふしとカケラ」という、かわいらしいけれど家具っぽくない名前がつけられた。

 

規格はそろっているので並べたときの統一感はあるが、よく見ると1脚ごとにほんとうに表情がちがう。大人の遊び心とモノづくりの精神がギュッと凝縮されている。

 

伊勢丹新宿店本館1階「ふしとカケラ」展で、たくさんの「ふしとカケラ」をぜひ見比べてみてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経年変化によって擦れたところから別の色が出てくる、ミナ ペルホネンのオリジナルファブリック「OTTO」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アームチェア「HIROSHIMA」とチェスト。端材の表情をいかすため、形状は極めてシンプルに仕上がっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天板と口板部分に端材をパッチワークしてつくったチェスト。

 

 

 

 

 

ISETAN MITSUKOSHI DESIGN WEEK 2013

「HAND MADE BY / FOR ME」

会場:伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越

会期:10月23日(水)~11月5日(火)

 

「ふしとカケラ」

MARUNI COLLECTION HIROSHIMA with minä perhonen

会場:伊勢丹新宿店 本館1階=ザ・ステージ

住所:東京都新宿区新宿3-14-1

電話:03-3352-1111

会期:10月23日(水)~10月29日(火)

 

 

ミナ ペルホネン・皆川 明氏によるプロジェクト

のロゴ。

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