注目のデザイン
新旧スイス人デザイナーの
名作チェア&テーブルが
2014年ミラノサローネでvitra社から発表
ハンス・コレーが1939年に発表したランディチェア
先鋭的でありながら機能性の高いフォルムが魅力
30万人以上が訪れる世界最大級の家具見本市「2014年ミラノサローネ」。vitra(ヴィトラ)社は、スイス人デザイナーによる新旧ふたつの名作家具を発表した。
一つは20世紀のデザイン史にインパクトを与えた「Landi Chair(ランディチェア)」の復刻版。もう一つは、ランディチェアと同じくアルミニウム素材で構成された「Davy Table(デイビーテーブル)」だ。
セットで使うのが当然であるかのようなコンビネーションだが、さて問題。この2台はどこに置くことを想定されたものだろうか? 都会のカフェテリア? 静謐な図書館? それとも自宅のリビング? ――正解は屋外のどこにでも!
ノスタルジックな雰囲気すら漂う、ごくシンプルな両プロダクトデザインにはアウトドアに必要な機能がすべて備わっている。デザインの魅力に迫ってみた。
ランディチェアは、1939年にチューリッヒで開かれた「スイス国際博覧会」で、公式屋外用のチェアとして採用された。デザインを手がけたのは、当時まだ学生であったスイス人デザイナー、ハンス・コレー。
コンペでは、針金の脚に穴あき板金の座をのせたミニチュア・モデルを見せた。先鋭的でありながら機能性の高いフォルムは、これ以降、屋外チェアの基本形となっていく。
背もたれとシートが一体になったシェルチェアの構造は、脚部の上のシートをねじ止めしているだけという単純さ。素材にはこの時代、スイスの重要輸出品であったアルミニウムを、全パーツに使用している。
ゆえに軽くて丈夫。体になじむ質感もある。さらに軽量化のため91カ所にパンチングを施すことで、約3kgにまでウエイトダウンすることに成功。“穴あきデザイン”だから、当然、雨水はたまらない。
想像でしかないけれど、博覧会スタッフはランディの実用性に感謝したはずだ。たとえ雨ざらしにあっても美しさは少しも揺るがない。その場にいることが当然のように、キュッとタオルでひと拭きするだけでピカピカのチェアに戻る。