アーバンインフォメーション
先端モダンアートを南麻布から発信
「Takuro Someya Contemporary Art」
新たなアートの発信地として注目され、近年、ギャラリーが増えつつある六本木・南麻布エリア。各国大使館などが建ち並び、外国人が多く住んでいることでも知られます。そんな閑静な住宅街の一角に2年前にオープンしたギャラリー、「Takuro Someya Contemporary Art」を訪ねてみました。
麻布の閑静な住宅街に佇む
隠れ家的なギャラリー
南麻布の閑静な住宅街。仙台坂上からほど近い坂の途中に、気軽に現代アートにふれられるギャラリー「Takuro Someya Contemporary Art」(以下、TSCA)はあります。
緑あふれる有栖川記念公園にも歩いて行ける、自然が豊かな場所。ギャラリーの向かいには小ぢんまりとした公園があり、春には満開の桜が見られるそうです!
「TSCA」は2006年に千葉県柏市でオープンし、その後2010年に築地にオープン、他をクローズし現在の場所に集約してオープンしたのは2015年。
マンションビルの1階部分がギャラリー空間になっており、まさに隠れ家のような雰囲気。麻布からアートを発信しています。
代表の染谷拓郎氏は、「麻布エリアは六本木や広尾、白金高輪、恵比寿も比較的近く、六本木には最近はまたギャラリーが増え、新しいルートができつつあるので周りやすくなりました。まさにベストな立地にオープンできてよかった」と話します。
作家と共に
ジャンルにとらわれずアートを発信
アーティストとの調査活動からエージェント業務なども一貫して行なう「TSCA」には、現在8名のアーティストをパートナーに迎え、定期的に展覧会を開催しています。
「個人的に好きな作家はたくさんいますが、それにとらわれず、私たちギャラリーをチームとしたときに、お互いに新しい発見と向上をし合える作家さんにお声かけしています。ギャラリーのジャンルやスタイルは決めず、作家本人との相性をとても大切にしています」(染谷氏)
浄化ということを中心に社会的な問題を映像やインスタレーション、そしてパフォーマンスの作品にする岩井優氏。グラフィティーやストリートアートの研究と絵画制作を活動の柱とする大山エンリコイサム氏。彫刻作品と彫刻の考え方を映像や写真に展開して作品にする鈴木基真氏など、作品制作の基盤になっている活動もユニークな作家が名前を連ねているのが、「TSCA」の独自性といえそうです。
「TSCA」注目のアーティスト
ラファエル・ローゼンダール氏による展示
現在「TSCA」では、ニューヨークを拠点に活動するオランダ出身のアーティスト、ラファエル・ローゼンダール氏の作品を展示した展覧会「Convenient」を開催しています(〜7月29日まで)。
今回の展示の中心となる『Abstract Browsing tapestries』は、ウェブページの画面構成を抽象化したタペストリー作品で、2014年にローゼンダール氏が開発したプログラム作品『Abstract Browsing.net』が、ベースになっています。
これは、ウェブページ上にある情報(画像、配置、テキスト)をすべて明るい色の幾何学的な配置に反転するプログラム。
ローゼンダール氏は、「テキスタイルの歴史はコンピュータの始まりともいわれ、ピクセルとステッチも似ているし、グリッド状になっているという共通点もある」と言います。
「デジタルはスクリーンで見たままを完璧に印刷できますが、テキスタイルは織り目が毎回パーフェクトに出るとは限りません。オーダーして出てくるまで完成形がわからないところが魅力であり、好きなところでもあります」(ローゼンダール氏)
今回の展示は、ウェブで視覚的にローゼンダール氏の作品を見ることとはまた違った、触覚にも訴える体験ができそうです。タペストリーは、今回が日本初となる貴重な展示。ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
「TSCA」の周りには、公園のほかにテレビや雑誌で取り上げられる歴史的に有名な坂も多く、晴れた日には周辺を散策するのもまた楽しみの一つですよ!
(取材・文/開 洋美、写真・川野結李歌)
Takuro Someya Contemporary Art
住所:東京都港区南麻布3-9-11 パインコーストハイツ1階
電話:03-6804-3018
開廊:12:00〜19:00
休廊:日曜・月曜・祝日