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2018.01.29

自転車に関するライブラリー&ギャラリー
希少な歴史的名車にも出会える

JR目黒駅から徒歩3分の場所にある「自転車文化センター」は、自転車に関連する国内外の書籍や昔ながらの貴重な自転車の展示など、自転車に関するあらゆる情報が詰まった施設です。特に自転車の変遷は見ているだけでも興味深く、自転車好きはもちろん、そうでない方も幅広く楽しめる空間です。

 

 

草創期の珍しい自転車も展示され、見ているだけで楽しくなる。

 

 

貴重な書籍がそろうライブラリーと

歴史的な自転車が展示されたギャラリーを併設

 

目黒にある「自転車文化センター」は、もともと千代田区・九段下の科学技術館にあった施設が、2014年に移転オープンしたもの。自転車に関する情報発信を目的に、一般財団法人日本自転車普及協会が運営しています。

 

館内はライブラリーと展示スペースに分かれ、ライブラリーの所蔵点数は約1万点以上!

 

国内外の自転車に関する一般的な書籍から自転車の旅にまつわる本、整備についての専門書、過去の自転車レースの結果など、一般の図書館にもあるようなものからマニアックなものまで閲覧できます(貸し出し不可、コピーは可)。地下には自転車雑誌のバックナンバーも。雑誌の最新号は無料で閲覧できますが、貴重な書籍を含む多くの書籍は、BCC友の会の入会が必要になります。

 

 

自転車に関する国内外の専門誌、書籍、資料など1万点以上を所蔵。レースのリザルトも保管されている。

 

 

(左)ペダルがついた最初の自転車、「ミショー」(1861年、フランス)
(右)男女兼用自転車の始まり、「スーパーマルエム号」(1958年、日本)

 

 

展示スペースには実際に使われていた販売当時の自転車が展示され、自転車が登場したばかりの頃のクラシカルな形のものから日本の昭和初期のものまで、一連の変遷がたどれる形で展示されています。なかには「これ、どうやって乗るの?」と目を疑うような形のものもあり、見ているだけでも楽しめます。

 

「当時のまま残す」ことを基本にしているため、このような形で実物が残っている場所は日本でも数少ないそうです。

 

なかでも注目すべきは、ドイツ製の「ドライジーネ」とイギリス製の「オーディナリー」。どちらも自転車が登場した初期のもので、珍しいと多くの人の興味を引くそうです。ほかに、女性のロングスカートの巻き込みを防ぐためのネットが施されたイギリス製の「ロイヤルエンフィールド」なども見どころの一つ。これら展示された自転車は、自由に撮影することができます。

 

 

1830年頃、イギリスを代表する女性用自転車、「ロイヤルエンフィールド」。ロングスカートの巻き込みを防ぐネットが施されている。今はオートバイブランドとして有名だが、創業当時は自転車を製造していた。

 

 

(左)チェーンカバーのエンブレム(ROYAL ENFIELD)が風格を感じる。
(右)革製のサドルにも「THE ROYAL」の文字が印字。サドルとハンドルの位置が高く、スカートでも乗り降りが楽。

 

 

毎回、テーマが変わる企画展

現在、「女性自転車変遷の歴史展」が開催中

 

自転車文化センターでは、過去にはツール・ド・フランスに関連した展示や日本の手づくり自転車メーカーによる展示を行なうなど、毎回テーマを変えたさまざまな企画展も実施しています。現在〜3月4日(日)まで行なわれているのが、「女性自転車変遷の歴史展」です。

 

自転車が誕生した1817年当時、自転車はロングドレスなどを着用するのが主だった女性には乗りにくいものでした。しかしその2年後に女性でも乗ることができる自転車がイギリスで考案されて以来、女性に配慮した自転車の開発が盛んに行なわれるようになります。

 

「女性自転車変遷の歴史展」では、現在に至るまで細部に渡り改良されてきた各時代の実車が、当時の写真と一緒にわかりやすく展示されています。自転車というと身近すぎる分、日頃気に留めないことも多いですが、「女性と自転車」を基準に歴史を見ていくという切り口はとても新鮮でした。

 

毎回テーマを変えてさまざまな企画展を実施。3月4日(日)までは「女性自転車変遷の歴史展」が行われている。

 

 

(左)女性のための三輪自転車、「トライシクル」(1880年、イギリス)。三輪で乗りやすくヴィクトリア朝の重い服を着た女性に重宝がられた。チェーン駆動。
(右)女性のためのツーリング用自転車、「ヴェルダン」(1940年、フランス)。現在でも通用する13キロという軽さ。

 

 

(左)1920年代のロンドン。軽量で乗りやすい自転車が開発され、多くの女性たちが自転車を愛用した。
(右)1900年、サイクリングを楽しむ女性。自転車で30キロくらいの距離を走った。

 

 

施設の運営を担当する中野さんは、「自転車は旅、スポーツ、軽快車などテーマがいくらでも広がるので、次はどんなテーマで展示をするかはいつも悩むところ」と話します。

 

「自転車の魅力というと、日常に当たり前にあるので忘れられがちですが、あまり興味のない人がふらっと来て自転車の魅力にどっぷりはまることも少なくありません。企画展はもちろん、展示スペースの自転車を定期的に入れ変えるなど、楽しんでいただける工夫もしていますので、ここに来て少しでも自転車の魅力を知っていただけると嬉しいです」

 

自転車文化センターは自転車好きはもちろん、そうでない人も十分楽しめる目黒の穴場スポットでした。自転車に詳しい学芸員もいるので、いろいろ質問してみるのも楽しいかもしれません。

 

(取材・文/開 洋美、写真・渡邉まり子)

 

 

 

 

自転車文化センター

住所:東京都品川区上大崎3-3-1 自転車総合ビル1F

電話:03-4334-7953

会館時間:9:30〜17:00(最終入館16:45)

入館料:無料

定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始

http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/

 

 

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