アーバンインフォメーション
「日本の道具③」展で、日本の手仕事を知る
「鍋からはじめる秋支度」をテーマに開催中
インテリアデザイン好きに支持されている六本木の「リビング・モティーフ」で、手仕事でつくられる道具に焦点を当てた「日本の道具③」が開催されている。3回目となる今年は「鍋からはじめる秋支度」をテーマに、さまざまな調理道具をセレクト。10月1日(日)まで、展示・即売を行っている。
鍋、カトラリー、器、ざる、ボウル
「味覚の秋」、「食欲の秋」を彩るキッチンツール
インテリア雑貨、ファニチャー、ステーショナリー、書籍などデザインやインテリアにまつわるものを幅広く揃えるリビング・モティーフ。30年以上にわたってデザインのホンモノだけを選び抜いてきた、ライフスタイルショップのパイオニア的存在だ。
折々に企画展示も行っているが、現在は『日本の道具3 鍋からはじめる秋支度』を開催中。クラフトバイヤーの日野明子さんが選ぶアイテムの展示・即売企画、第3弾だ。
作り手と使い手をつなぐ「ひとり問屋」として活動を続ける日野さんは、今回、秋の味覚をよりいっそう楽しむための調理道具を全国各地から集めた。
日野さんが選ぶアイテムはどれも求心力があって、見た瞬間にハッとさせられる。ものづくりに真摯に向き合う作家の作品は、美しく、個性的で、道具としての使い勝手のよさと高い耐久性を持っていることが一目でわかる。
わらとい草の安定感のある鍋敷き、秋田杉を山桜でうろこに閉じたおひつや飯切、打ち出しの鎚目が美しい錫器、シンプルでモダンな鋳物のパンや鍋、ていねいに編み込まれた竹ざる、手ざわりの滑らかな木製のカトラリー、何層にも土を重ねて縞模様の石のような柄に焼き上げた練り込みの箸置きや器、薄くて軽くて繊細なレンゲ……。
ショーウィンドウに面した一角にずらりと並ぶキッチン周りのツールは、すべてに「わくわく」が宿っている。
「初秋に土鍋を紹介したい」と1年前に企画
時間をかけて実現させた展示
一口に「鍋」と言っても、土鍋、鉄鍋、銅鍋、ステンレス鍋、ホーロー鍋とさまざまな素材があるし、大きさや深さもまちまちだ。
鍋によって得意分野もちがって、サッと炒めるのに向くにはこのパン、じっくり煮込むならこっちの鍋、ふっくら焼きたいときはコレ……と、それぞれの持ち味を知って使いわけると料理の幅はグンと広がる。道具を使いこなしながら育てていく楽しみもある。
今回の企画の核となったのは、秋から冬にかけて日本の食卓に華やぎとやすらぎをもたらしてくれる「土鍋」である。
土鍋の素朴であたたかみのある風合いは見た目にホッとするし、食材にゆっくり熱を通すのでおいしくなるし、みんなでわいわい言いながら取りわけて食べればテンションもあがる。
数多ある土鍋のなかから日野さんが選んだのは、稲葉直人氏と山本忠正氏の作。稲葉氏の土鍋は、調理道具としては珍しいアーティスティックな模様と色が特徴だ。山本氏の土鍋はスッとしたフォルムと光沢感のある釉薬がなんとも言えず美しい。
土鍋の季節を先取りした展示は、1年前に企画され、日野さんを通じて作家さんたちと交渉を重ねて実現したという。展示を通じて、日本各地の生産者を訪ね日本の手仕事と生み出される道具を見つめてきた日野さんの眼識と、すばらしい道具の数々に触れてみてほしい
(取材・文/久保加緒里)
リビング・モティーフ
住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビルB1F, 1F, 2F
電話:03-3587-2784
営業時間:11:00~19:00
無休