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「明治宮廷のダイニングホール」
赤坂仮皇居御会食所とその時代をふり返る
東京・神宮外苑に位置する明治記念館は、かつて明治天皇の「御会食所」として皇室外交の舞台にもなった貴重な遺構だ。開館70周年を記念して、かつて催された宮中晩餐を紹介する特別展示『明治宮廷のダイニング~よみがえる近代の饗宴~』が開催されている。
日本の西洋文化が花開いた明治を
宮廷晩餐会の資料からふり返る
昭和22年(1947)明治神宮の総合結婚式場として開館した明治記念館。
「憲法記念館」と呼ばれる本館は、明治14年(1881)に赤坂仮皇居に建設された「御会食所」の貴重な遺構だ。
現在、ラウンジや宴会場として利用されている「金鶏の間」では、三大節(四方拝/1月1日、紀元節/2月11日、天長節/4月29日)の賜宴、海外からの要人を招いての宮中晩餐会が催されていた。
館内の特設コーナーで11月9日まで開催されている『明治宮廷のダイニング~よみがえる近代の饗宴~』は、明治期の皇室の正式な宴席を貴重な作品と資料でふり返る展覧会だ。
特設コーナーには、宮中晩餐の引出物として作製された細工の見事な工芸品「ボンボニエール」や、「天皇の料理番」として知られる秋山徳蔵氏のメニューカード(実物)と饗宴料理(レプリカ)、勅任文官大礼服(レプリカ)が並ぶ。
「鴨肉のカレーライスと富士山アイスクリームのセット」
赤坂仮皇居御会食所に縁のあるメニューが期間限定で登場。
また、赤坂仮皇居の御会食所が天皇のダイニングホールとして活用された時代の背景を地図や年表でわかりやすく紹介しているほか、「明治の広重」と呼ばれた浮世絵師井上安治(やすじ)の132枚からなる作品集『東京真畫(が)名所図解』のうち赤坂仮皇居の門を描いた作品など42点も展示している。
明治の皇室外交の場となった宮廷晩餐会をさまざまな視点からひもといた小規模ながら充実した展示企画にあわせ、金鶏の間で営業中の「ラウンジKinkei」には赤坂仮皇居御会食所に縁のあるメニューとして「鴨肉のカレーライスと富士山アイスクリームのセット」が期間限定で登場。
鴨肉のカレーは、貴重な文献や資料をもとに、実際に明治期に要人を招いた食事会で振る舞われたものを再現し、約133年ぶりに復活させた。食後のデザートには、現在でも宮中晩餐会の定番となっている富士山アイスクリーム。赤坂仮皇居御会食所に縁のメニューを実際に味わうことができる。
明治記念館は建物も中庭も美しいし、ラウンジやレストランも充実している。神宮外苑の銀杏並木など秋の散歩を楽しみがてら、立ち寄ってみてはいかがだろう。
(取材・文/久保加緒里)
明治記念館開館70周年特別企画
明治のダイニングホール~よみがえる近代の饗宴~
期間:2017年7月26日(水)~11月9日(木)
時間:10時~19時 土日祝日9時~19時/不定休
会場:明治記念館内特設コーナー
住所:東京都港区元赤坂2-2-23
電話:03-3476-7770