注目のデザイン
雨をデザインに採り入れる提案
「鎖樋」がファサードのイメージを変える
梅雨を迎え雨の多い日本では、雨樋(あまどい)は建物に欠かせない設備のひとつ。エクステリアのアクセントにもなるデザイン性の高いSEO RAIN CHAINの鎖樋(くさりとい)シリーズをご紹介しよう。戸建て住宅では雨樋もファサードの一部であり、モダンなデザイン雨樋が建物の雰囲気を変える。
日本で生まれた建築の機能パーツが
デザインに新たな価値をつくりだす
屋根で受けた雨水が軒や壁を伝って建物内に入り込むと、居住空間に湿気がこもる、カビがはえる、建材が腐食するなどの不具合を引き起こす。それを防ぐために設置されるのが雨樋だ。
樋(とい)に集められた雨水は、軒の隅から地面に垂らされた鎖樋で地面へと導かれる。安土桃山時代に棕櫚縄を垂らしたのがはじまりと言われ、より効率よく排水するため金属を鎖状に加工したものや金属製のカップを連結させたものなどに発展していった。
日本独自の木造建築とともに進化してきた鎖樋は、日本建築にしっくり馴染むデザインだが、現代の意匠にはそぐわないことも多い。現在ではパイプを縦に配する「縦樋」が増えている一方、エクステリアのアクセントとしても魅力のあるモダンな鎖樋も生み出されている。
新世代の鎖樋を提案するのは、金属加工業が盛んな富山県高岡市で1935年に創業した瀬尾製作所。1960年代から鎖樋の製造を続けるなかで、「雨水を、ランドスケープの一部にしたい」と現代的な機能美を追求した製品を開発したのである。
仏器や美術工芸品で腕を磨いた
高岡の匠の技術がエクステリアを変える
瀬尾製作所のラインナップに並ぶのは、継ぎ目のない円筒をつなぐ「筒 toh」、やさしい丸みを帯びた「玉 tama」、竹の節をイメージした「竹 take」、鎖樋の古典的な構造ながらリングの美しさを際立たせた「波紋 hamon」など。
金属の板や棒を「曲げ」、「溶接」、「絞り」など創業以来磨き続けた技術で加工する。パーツのひとつひとつをていねいに仕上げることで、機能面でもフォルムの美しさの面でも完成度を高めている。
瀬尾の鎖樋シリーズは、シンプルで均整の取れたフォルムが注目され、建築デザインの一部として採り入れられるようになっている。
象徴的に採用されているのは、渋谷区千駄ヶ谷にあるコープ共済プラザ。9階建てのビルのファサード全面に設えられた鎖樋は、雨水を流すだけではない鎖樋のデザイン的価値を明確にした。
コープ共済プラザのファサードには、リングを連ねた鎖樋に加えて720本の「筒 toh」が採用されている。長さの異なる3種類の円筒を水の流れがもっとも美しく見える間隔で連結した「筒 toh」が、リズムを感じさせながら垂直方向のラインを強調。ファサードの表情をよりいっそう豊かに演出する。
金属の輝き、流れや音を感じさせるフォルム、雨水までもエクステリアの一部に採り入れる発想で、機能的設備をデザインに変換する瀬尾製作所の鎖樋シリーズ。すでに設置されている鎖樋と交換できる場合も多いので、DIY感覚でご自宅に取り付けてみてもいいのでは?
瀬尾製作所株式会社
住所:富山県高岡市戸出栄町40-5
電話:0766-63-5000