Season's Home Deli

2012.09.12

食材の意外な組み合わせが楽しい
ポルトガル伝統の郷土料理

食卓に並ぶ手作り料理は、みんなの笑顔のミナモト。そんなハッピーを呼ぶ口福レシピを提案してくれるのは、地中海料理をメインとして、世界各国の料理に精通する久須美光子さん。季節のイベントやシーンにぴったりの、スタイリッシュ&オリジナリティ溢れるレシピで、カラダと心においしいエナジーチャージを!

Text by Mitsuko KUSUMI

Photographs by Naoko MATSUNAGA

 

9月のRECIPE :

豚肉とあさりのアレンテージョ風煮込み

 

季節の変わり目は体調を崩しやすいもの。特に今年は猛暑続きで、

夏の疲れから、食欲をなくしていたりしていませんか?

 

そんなとき、私自身が食べたくなる優しい味、ポルトガルのお料理を皆さんにご紹介したいと思います。

 

ポルトガル料理ってどんなもの? と思われる方も多いかもしれませんよね。

 

味付けは素材の味をいかした素朴な塩味が多く、日本食の中の洋食のカテゴリーに入るような、日本人の舌にも違和感のないお料理ばかり。

素材ではタコやイワシなど、私たちになじみのある魚介類がふんだんに使われており、主食はパンのほかに、炊いたお米やお雑炊のようなリゾットが多く食卓にのぼりますし、豆や野菜もよく使われています。

 

実際、ポルトガルを旅したとき、市場で売られているものを見ても、レストランへ行っても、その違和感のない印象は変わりませんでした。

メニューひと皿ひと皿の量が異常に多いのだけを除いて(笑)。

 

また、街の石畳の路地脇では、家庭の主婦たちが炭火でイワシを焼いていて、そこらじゅうで煙がモクモク…!

 

日本の食卓を思い出させる懐かしい匂いと、そこがヨーロッパの建物の街並みの中であるというギャップ! これはなんとも面白い経験でした。

そしてその食べ方にびっくり。

 

現地の方はどうしているのかというと、その焼いたイワシにレモンを絞り、オリーブオイルをかけてパンにはさんだり、パンの上にのせてイワシの油を吸わせて食べているのです。

 

やっぱりこれはおしょうゆと白いごはんに決まってるでしょ~! と思う私はやっぱりニッポンジンなんだなぁと苦笑い。

 

帰国してからイワシのサンドイッチをやってみましたが、まぁ、なかなかな発見となりました(笑)。

 

素材、調理法、食べ方、そこに横たわる歴史的背景。実に奥深い!

私が「食」って楽しいなと思う理由はそこにあるのかもしれません。

 

今月はそんなポルドガル料理を3品の献立としてご紹介させていただきますが、どれもほっとする気持ちの良い味付けに仕上がっています。是非お試しになってみてくださいね。

 

 

豚肉とあさりのアレンテージョ風煮込み

材料(約4人分)

A:マリネ液

白ワイン……………………………1カップ(200㎖)

パプリカパウダー…………………大さじ2/3

塩……………………………………小さじ1

黒こしょう…………………………少々

 

B:

にんにく……………………………一片(半割にする)

ベイリーフ…………………………1枚

豚ももかたまり肉…………………450g(3㎝角に切る)

 

トマト………………………………小2個(約250g。湯むきし、種をとって粗くみじん切り)

殻つきあさり………………………200g(砂出ししておく)

じゃがいも…………………………大1個(約180g。3㎝角に切る)

玉ねぎ ……………………………中1個(約160g。薄切り)

赤パプリカ…………………………1/3個(薄切り)

にんにく …………………………2片(約12g。みじん切り)

赤唐辛子……………………………1/6本(約1g。小口切りor細かく切る)

生コリアンダー……………………大さじ3(みじん切り)

レモンスライス……………………2枚

塩・こしょう………………………適宜

オリーブオイル……………………少量

 

作り方

1.ジッパー付きのビニール袋にAを入れてマリネ液を作り、その中にBを入れてよくからめてから、室温で3時間、または冷蔵庫でひと晩マリネする(漬け込む)。

2.1から豚肉、にんにく、ベイリーフを取り除き、マリネ液は取っておく。

3.熱したフライパンに、水気をよく拭いた豚肉を入れ、表面に焼き色が付くまで焼いた後、ボウルに取り出す。

4.じゃがいもは、少量のオリーブオイルで素揚げにする。

5.鍋で玉ねぎを炒め、赤パプリカを加えて火を通してから、にんにく、トマト、赤唐辛子、豚肉、マリネ液、あさりを入れ、フタをして中火で5分煮る。

6.あさりの口が開いたら、ボウルに取り出す。

7.豚肉がやわらかくなるまで、弱火で約30分~40分煮込む。

8.あさりを鍋に戻して塩・こしょうで調味した後、じゃがいもと一緒に盛りつけ、生コリアンダー、レモンを飾る。

 

あさりは、塩水で底の平たい器に入れて暗い場所に置くとよく砂をはきます。

水が飛ぶので、私はお風呂場で砂出ししています。

 

料理名にある“アレンテージョ”とはポルトガル南部の地名。豚肉とあさりを使ったこの煮込みは、ポルトガルではメジャーな郷土料理です。

今回は、同じくポルトガルの“コインブラ”という場所で有名な、伝統柄の手描きのお皿に盛り付けてみました。

 

 

さて次に、この煮込み料理とも相性抜群のスープと、豆のサラダをご紹介します。ポルトガルの伝統料理3品、その素朴でやさしい味わいをぜひセットでご賞味ください。

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