HAPPY GARDEN DIARY

2014.08.13

マンションの玄関を彩る
ウェルカムグリーン

夏は来客の多いシーズン。そこで今月は、マンションの玄関に置いてゲストを迎える大鉢の寄せ植えと、それにプラスしてエントランスを立体的に飾るアイデアを紹介。太陽の光が当たりにくい場所にも強い植物についてもアドバイスします。

 

日陰でも元気に育つ

ローメンテナンスの寄せ植え

 

マンションの玄関というと、北側や通路側など、太陽の光が当たりにくい場所が多いもの。

水やりなど、日々の手入れを考えてもガーデニングには二の足を踏みがちです。

けれど、日陰でも元気に育つ植物を選べば、不可能ではありません。

そこで今回は、日陰に強く、メンテナンスの手間も少なめのグリーンを使い、エントランス向きの寄せ植えを提案します。

 

使用するコンテナは、玄関でも存在感を主張でき、水やりも比較的少なくて済むテラコッタの大鉢。植える範囲が広いので、植える花や植物も多めに選びます。

今回セレクトしたのは、いずれも日陰に強い植物で、レイアウトしやすいよう、3つの種類にグルーピング、それぞれ2〜3種類ずつ用意しました。

 

まずは全体のイメージを左右するシンボルツリー的な大きめの葉もの(A)、次に寄せ植えの中に彩りをプラスする花々(B)、そして最後に鉢の周りに垂らしたり、寄せ植えの間を埋めるのに活躍するアクセントリーフ(C)、です。

 

A : 大型の葉もの

 

(左から)ハーブゼラニウム、コリウス、ギボウシ

(左から)ハーブゼラニウム、コリウス、ギボウシ

 

B : 彩りを与える花々

 

(左から)ニューギニアインパチェンス、インパチェンス、ユーフォルビアダイヤモンドフロスト

(左から)ニューギニアインパチェンス、インパチェンス、ユーフォルビアダイヤモンドフロスト

 

C : アクセントとなる葉もの

 

(左から)リシマキア、コクリュウ、アジュガ、アイビー

(左から)リシマキア、コクリュウ、アジュガ、アイビー

 

レイアウトのポイントとなるのは、大きなA群の植物。目線がいく奥にダイナミックかつ動きを生かして植え込みます。さらに中心部に可愛らしいピンクのインパチェンス2種類をレイアウト。白いダイヤモンドフロストは、花そのものは小さいながらボリュームがあるので、少し奥めに植え込んで、爽やかさを演出します。実はこのダイヤモンドフロスト、暑さや乾燥、病気にも強いので、今回のような寄せ植えにはうってつけ。日陰に強い花というとピンクや紫の花が多く、夏らしい黄色など、あまりカラフルなものは揃えられませんが、色数を抑えた分、ナチュラルなイメージにまとめられます。

 

そして最後にCを植え込み。株の間を埋めるグラウンドカバーとしてアジュガを、さらに鉢に沿ってリシマキアを垂らして表情豊かにアレンジ。間から、ダークグリーンの細長いコクリュウを覗かせれば、全体が生き生きとした印象に。

 

また同じ緑でも、ギボウシなどは、黄金葉や斑入りなど、葉色が豊富ですし、葉の大きさもさまざまなので、変化を付けるにはぴったり。こうした葉の色の濃淡や大きさ、形に着目すれば、グリーンだけでも十分変化を感じる寄せ植えになり、センスアップができます。

そのほか、ウェルカムプレートやピックなどの小物を飾れば、より楽しい雰囲気に。

玄関は、ゲストを迎える最初のスペースでもあるので、豊かな緑で歓迎の気持ちを表現してください。

 

ただし、マンションは共有スペースも多く、こうしたガーデニングに関してもルールが決められている場合もあります。マナーには十分配慮したうえで、おもてなしのガーデニングを楽しんでいただきたいと思います。

 

【メンテナンスのアドバイス】

・ 終わった花は花がらを摘むこと。

・ 夏の高温対策として、なるべく蒸れないよう、風通しをよくすること。葉が茂って混み合ってきたら、適宜間引くか、切り戻しを行いましょう。病気や害虫の予防にもなります。

 

 

暗くなりがちな玄関周りを

リズミカルにアレンジ

 

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次のご紹介するのは、メインの大鉢の寄せ植えに単品の鉢物をプラスして、エントランス周りを立体的に飾るアイデアです。

 

マンションの玄関周りはスペースや日当たりの制約も多く、なかなか飾りつけが難しいものですが、このように空いているスペースに小さなグリーンを置くだけでも、玄関周りが生き生きとした印象に変わります。

 

合わせた植物のひとつめは、アイビーを植えたテラコッタの小鉢を、アイアン製のバードゲージ(鳥カゴ)に入れたもの。

上の写真では、門の上のスペースに置きましたが、フックが付いているので、吊り下げるスペースがあれば、下げて飾ることも可能です(ただし、重みがあるので、置き場所には十分に注意を)。

 

アイビーのように四方八方に広がって伸びるツル植物は、鉢に植えるだけでなく、バードゲージのような柵付きアイテムと合わせると、間から枝が飛び出し、そのリズミカルな動きを強調することができます。

 

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一方、小さなブリキのバケツを鉢カバーにして飾ったのが、下の写真で、シュガーバインを使用しています。シュガーバインは真夏の直射日光が苦手で、むしろ風通しのよい日陰向きの植物。太陽の光が当たりにくい場所でも育ちやすいので、北向きのベランダなどにもおすすめです。

 

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メインの寄せ植え以外にも、こうした小さな鉢物を組み合わせれば、空間的な演出の幅が広がり、ガーデニングの可能性をより楽しんでいただけるはず。

 

日陰だからガーデニングは楽しめない……とあきらめず、むしろそれを逆手にとったアイデアで、緑のある生活を存分に頼んでみてください。

 

(文・原口りう子 写真・松永直子)

 

ガーデニングデザイン:

株式会社3Films ガーデニング部所属 有川宗子(ありかわ もとこ)

東京都出身。JGS公認ガーデンコーディネーター、ガーデニング歴20年。個人の庭やベランダ、幼稚園の園庭花壇の植栽などを手掛けている。

http://3films.com/garden/

 

 

 

 

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