HAPPY GARDEN DIARY

2014.11.14

表情豊かな多肉植物を
スタイリッシュに楽しむ

ぷっくりとしたユニークな形と質感、手入れのしやすさで、人気上昇中の多肉植物。

ひとつ一つが個性的な表情を持ち、いつもとはひと味違うアーティスティックな寄せ植えが楽しめます。

 

ビジューのように

艶やかな寄せ植え

 

多肉植物とは、葉や茎、値などが肥大化し、そこにたくさんの水や養分を蓄える植物のこと。

主な原産国は南アフリカや中南米。降雨量が極端に少ない砂漠や、昼夜の寒暖差が激しい不毛の大地で過酷な環境に適応すべく、葉や茎に栄養を貯蔵して生き延びてきたのが多肉植物なのです。

 

そのため、乾燥に強く、日当りと風通しの環境さえあれば、水やりも10日〜2週間に1度程度でOK。土が少なくても育つため、ガラス瓶やブリキ缶、テラコッタの器まで、コンテナ選びの幅も広がります。

 

また、生長のスピードも緩やかなので、通常の寄せ植えのように生長分のスペースを気にせず、ほぼ完成状態に近いスタイルでレイアウトできるのは、初心者にとっても大きなメリットとなるはずです。

 

そんな多肉植物の特徴を踏まえて紹介するメインの寄せ植えは、アンティークのゴブレット(脚付きの器)からイメージを膨らませ、シックで大人っぽい雰囲気に仕上げたもの。

ゴブレットの高さを生かしてネックレスのように垂れ下がる植物と、ひとつ一つの色や表情が個性的な植物を組み合わせ、落ち着いた中にも躍動感が感じられる、お洒落なデザインがポイントです。

 

下記に材料や植え方のポイントも紹介しますので、参考にしていただきつつ、多肉植物ならではの独自の世界を存分に楽しんでください。

 

■POINT

1_土は多肉植物の専用土を使用

多肉植物を長く楽しむためには、専用の土を利用するのがおすすめ。

右の根腐れ防止材(珪酸塩白土)をひと並べした後、左の専用培養土を入れます。

 

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2_挿し穂を活用する

挿し穂とは、株を増やすために使う枝や茎のこと。多肉植物でも剪定した茎を土に挿したり、土の上に置いておくだけで、簡単に挿し穂が作れます。挿し穂は寄せ植えの間を埋めるのに使ったり、小さい器に植え替えたりすることで、また違った雰囲気で楽しめます。

 

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枝が伸び、不安定になってきたら、適当な位置でカット。切り口を乾かしてから、 乾いた土の上に挿すか、土の上に置いておく。

 

挿し穂の生長の様子。左が剪定したばかりの状態で、ここからだんだんと根が発生し(中)、 一番右の状態くらいまで根がでてきたら、挿し穂として活用可能に。

挿し穂の生長の様子。左が剪定したばかりの状態で、ここからだんだんと根が発生し(中)、一番右の状態くらいまで根がでてきたら、挿し穂として活用可能に。

 

 

■PROCESS

1_花器の特徴を生かし、垂れるものから植え付け

高さのある器を使う場合は、垂れるタイプの多肉植物を加えると効果的。レイアウトのポイントとなる部分なので、まずはこの垂れるタイプから、鉢に沿うようにして植え付けます。

 

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2_植え込みにくい植物は丁寧に作業を

垂れるタイプは固定しにくく不安定になりがちなので、土を足しては押さえ、足しては押さえ……を

繰り返して植え付けます。ただし、強く押し込むと葉がポロっと取れたり、茎が取れる危険性があるので、優しく丁寧に。

 

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3_レイアウトは立体感を意識

高さのある器の場合、鉢の周りは垂れる植物と低めの植物を組み合わせ、

中央に向かってこんもり山を描くように植え付けます。

こうすることで、バランスのよい仕上がりに。

 

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4_株を分けて隙き間に植え込む

花器との一体感を出したい場合は、挿し穂を隙き間に植えて密集感を出します。

細かい作業なので、ピンセットなどを使って、慎重に。

 

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ウッディなコンテナで作る

多肉のミニガーデン

 

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次に横長の木製コンテナを利用した寄せ植えを紹介します。同じ多肉植物でも、コンテナが変わるだけで、印象も一変。カントリー調の可愛らしいミニガーデンが完成しました。

 

花のように見える多肉植物をメインとして、あとは小さめの品種や挿し穂を植え付け。

このような横長のコンテナの場合、あまり高さを出さず、低めにまとめるとバランスよく見えます。

 

また植え付けに関しては、最初の寄せ植えとは逆で、密集させずに土を見せることで、余白を強調。

多肉植物用の培養土は色が白く、粒も大きいので、化粧砂=見せる土としても効果的に使えます。

 

頻繁な水やりの必要がない多肉植物は、室内に置き、インテリアの一部として楽しめるのも魅力です。

ただし日照不足は元気不足の元。窓辺などに置き、一日数時間でも陽の光を当てるよう心がけてください。

 

雑貨感覚で

飾る、楽しむ

 

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多肉植物は、葉の一つひとつまで個性的なので、小さい挿し穂ひとつだけでも、十分サマになります。

水穴も必要ないため、写真のように、デザートの空き瓶やミニチュア鉢を利用するのもおすすめです。

 

専用土も、化粧砂のように使えますので、ガラス瓶のような透ける器にもぴったり。

ひとつだけでも可愛いですが、写真のように複数組み合わせると、インテリアとしての魅力がぐんとアップします。他にも空き缶や不要になった食器、雑貨など、アイデアとセンスを駆使し、アートな空間を作り上げてみてください。

 

(文・原口りう子 写真・松永直子)

 

ガーデニングデザイン:

有川宗子(ありかわ もとこ)

東京都出身。JGS公認ガーデンコーディネーター、ガーデニング歴20年。株式会社3Films ガーデニング部所属。個人の庭やベランダ、幼稚園の園庭花壇の植栽などを手掛けている。

http://3films.com/garden/

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