HAPPY GARDEN DIARY
ガラス容器でお洒落に魅せる
ハイドロカルチャーのすすめ
テラリウムや多肉植物の寄せ植えなど、いま熱い視線を浴びているインドアガーデニング。今月はそんな中から水耕園芸、ハイドロカルチャーを紹介します。
室内栽培に最適
大注目のインテリアグリーン
ハイドロカルチャーとは、ギリシア語で水を意味するhydro(水の)と、英語のculuture(栽培・耕作)を組み合わせた園芸用語で、「水耕栽培」のこと。土の代わりに、ハイドロボールやハイドロコーンと呼ばれる人工倍土(石)を使用して、観葉植物を育てる栽培法です。
土を使わないので害虫のつく心配が少なく、用土の湿り具合で水やりのタイミングが分かるため、管理も比較的簡単。さらに使える容器も多くてお洒落度抜群、といいことずくめのインテリアガーデニングなのです!
今月はそんなハイドロカルチャーのアレンジをいくつかご紹介していきます。
まずは寄せ植えから。
用意するのはハイドロカルチャー用の人工倍土(石)。
主に粘土を高熱で焼成させた粒状の発泡煉石で、小さな穴が無数にあることで根の酸素不足が防げると共に保水性と通気性に優れているのが特徴です。
ハイドロコーン、ハイドロボール、セラミス、レカトンなどの名前で流通しています。
寄せ植えには、これにプラスして根腐れ防止剤との酸塩白土(ミリオンA)も用意します。
寄せ植えにする植物は、室内で育つミニ観葉植物が基本。
ハイドロカルチャーは水耕栽培の一種なので、日光にしっかりあてると苔や藻が発生しやすくなると同時に水温が上昇して根を傷める可能性があるため、室内や日陰でも育つ耐陰性の観葉植物が最適なのです。
最近はハイドロカルチャー専用として、あらかじめ根をスポンジに定着させ、
ハイドロコーンに植えた専用のポット植物も販売されていますが、これらを利用すると失敗が少ないので
初心者の方は特におすすめです。
植物をそろえたら、植える前にハイドロカルチャーならではの大切な下作業がひとつあります。
それは、植物の根やスポンジについたかすやゴミをキレイに洗い流して清潔な状態にしておくこと。
根の周りについている雑菌が残っていると、根腐れの原因になるからです。
もちろん、一般的な鉢植え用に土植えされた植物を利用するのでもOKですが、
その場合も、根の周りについている土をキレイに洗ってから植え替えましょう。
ちなみにハイドロコーンで育った植物の苗と土で育てた苗では、根のつきかたや成長度合に違いがでてきます。そのためハイドロ育ちと土育ちをひとつの鉢に植えるのは避け、それぞれのグループで
寄せ植えするのがベターです。
植物の根を洗ったら、同様にハイドロコーンも水洗いします。
植物とハイドロコーン、ともに水洗いしたら、いよいよ寄せ植え工程に。
まずは容器の底に根腐れ防止剤をひと並べし、次に洗浄したハイドロコーンを容器の1/3ほど入れてから植物を植えていきます。
レイアウトの考え方は通常の寄せ植えと同じ。
メインや背景となる植物の位置を決め、バランスよく配置していきます。
今回は奥にコンシンネ、左にステレオ、右にシンゴニウム、
そして手前に垂れるタイプの植物、トラディスカンティアを植えてアクセントとしました。
ある程度の空間を保ちながら植えることで、それぞれの植物の持つ個性がより際立ちます。
ガラス側面から覗くハイドロコーンも演出要素のひとつとなるので、
そのバランスも意識するといいでしょう。
植えつけが終わったら用土全体が浸かるまで、水を注いで完成。
置き場所は直射日光を避けた明るい日陰がベスト。
カーテンごしの窓辺などがおすすめです。
水やりはハイドロコーンが完全に乾いたところで、水を足すようにします。
大きさにもよりますが、この時期であれば一週間に一度くらいでOK。
水耕栽培というと、常に根が水に浸っていないといけないのでは、と考えがちですが、
水のやり過ぎはかえって酸素不足になり、根腐れを引き起こすので、ご注意を。
カラーサンドや貝殻を飾って
ポップにアレンジ
ハイドロカルチャーの専用土(石)にはハイドロコーンのような大きめ粒タイプのほかに
大理石やガラスの微小な粒、ゼオライト(多孔質の天然鉱物)などをカラフルに染めた「カラーサンド」と呼ばれる素材もあります。
なかでもゼオライトのカラーサンドは、水や土を活性・浄化して、根腐れを防ぎ、根張りをよくしてくれるのに加え水をやると色が濃く変わるので、水やりのタイミングも一目瞭然。
なによりアート感覚で植物を楽しめるということで人気です。
今回はこのカラーサンドと最初の寄せ植えで使ったハイドロコーンを使い、ガラスの器にミニ観葉植物
(左からパキラ、サンスベリア、ドラセナサンデリアーナ)をひとつずつ植えてみました。
一種類ずつ植えるので、寄せ植えのセンスに自信がないという人でも大丈夫。
置き場所に合わせ、組み合わせを考えながら飾るのも楽しいものです。
カラーサンドは複数使って層にしたり、貝殻やミニチュアフィギュアなどを飾ると、
よりインテリア性がアップ。
ほかにもカラフルなゼリータイプなど、ハイドロカルチャー用の用土はバリエーション豊富なので、
いろいろな組み合わせに挑戦してみてください。
ハンギングにすれば
さらにお洒落度アップ
底穴のない容器でも育てられるハイドロカルチャー。
特に水の量が容易に確認できる透明なガラス容器とは相性抜群です。
最後に紹介するのは、ハンギングタイプのガラスボウルを利用したハイドロカルチャー。
植物はあえてアイビー1種類に絞り、ツルの長さを強調したレイアウトに。
吊り下げる場合、ハイドロコーンを入れすぎると重くなるので、あれこれ欲張らないのもコツ。
ガラスの透明感を生かしたシンプルで潔い表現が、空間をより印象的に魅せてくれます。
ガーデニングデザイン:
有川宗子(ありかわ もとこ)
東京都出身。JGS公認ガーデンコーディネーター、ガーデニング歴20年。
株式会社3Films ガーデニング部所属。個人の庭やベランダ、幼稚園の園庭花壇の植栽などを手掛けている。