FLOWER WARDROBE

2012.08.22

夏の余韻を残しつつ、秋の到来を
心待ちにさせる晩夏のアレンジメント

部屋に花があるだけで、人は元気になり、空間も生き生きしてきます。そんな幸せな空間や雰囲気づくりに欠かせない季節のフラワーアレンジメントと、楽しみのコツを恵泉園芸センターの講師、鈴木千津江さんにうかがいます。

 

Flower arrangements by Chizue SUZUKI

Photographs by Naoko MATSUNAGA

 

 

オレンジとブラウンの色合わせで

季節の移り変わりを表現

 

まだまだ暑い日は続きますが、季節は確実に秋へと向かっています。

ゆく夏を惜しみながらも、秋の到来を待ちわびる…今回は、そんな晩夏をイメージしたアレンジメントをご紹介します。

 

全体を彩るオレンジ色の花々は、華やかさと上品さを兼ね備え、シックな秋色のトルコギキョウやバラとの相性も抜群。オレンジが醸し出すはつらつと明るい夏の雰囲気と落ち着いた色調のブラウンで、夏から秋への季節の移ろいを表現しました。ヒペリカムの赤い実も、秋の始まりを予感させる素敵なアクセントです。

 

さらにこのアレンジメントを効果的に見せているのが、木の葉型をしたアイアン製の器。アレンジメントと器が一体化することで、エシメトリカル(非対称)な構成がより強調され、スタイリッシュな印象に。リポン状に成型したキキョウランや花を詰めすぎずに適度な空間を作ることで、残暑をしばし忘れさせてくれるような、軽やかさや涼やかさの表現にもこだわりました。

 

Flower Material

サンダーソニア/バラ(カルビデューム)/トルコギキョウ(アンバーダブルマロン)/ヒペリカム/キキョウラン/パープルコンパクタ/ドラセナ/ダバリアファーン

 

 

process  1

キキョウランでアウトラインを決め、

非対称デザインのベースを作る

 

 

鉢皿にオアシス(吸水スポンジ)を固定した後、キキョウランをさしてアウトラインを決めます。今回はエシメトリカルな構成を意識し、右側のドラセナは輪を作ってコンパクトに、左側はそのまままっすぐに伸ばした状態で長さを出しました。

 

白い縞の入ったキキョウランはそれだけでもクールな印象ですが、さらにリボンのような輪を作ることで空間が強調され、涼しげに。輪は美しいカーブをキープするために、ホチキス留めしてあります。

 

process 2

もうひとつの主役、サンダーソニアで

縦のラインを決める

 

 

次に縦のラインを決めるサンダーソニアをさします。サンダーソニアは、ほおづきを連想させるようなかわいい花材で、夏の終わりのイメージともリンクするよう。このように縦と横のラインを決めてから、他の花材をさしていきます。

 

process 3

モダンな器も

アレンジメントを決める大事な要素

 

 

今回のアレンジメントをよりモダンに演出しているのが、アイアンの器。葉脈を模した透け感のあるデザインも、涼やかさの演出にひと役買っています。花器のフォルムも楽しめるよう、アレンジメントは右側に寄せて置き、一体化したデザインに仕上げます。

関連記事一覧