FLOWER WARDROBE
豊穣の角“コーニュコピア”を
モチーフに、実りの秋を表現

そんな幸せな空間や雰囲気づくりに欠かせない季節のフラワーアレンジメントと、楽しみ方のコツを恵泉フラワースクールの講師にうかがいます。
Photographs by Naoko MATSUNAGA
Text by Riuko HARAGUCHI
コーニュコピアの世界観を
現代風にモディファイ
長かった夏がようやく終わりを告げ、本格的な秋がやってきました。
今月は実りの秋にちなみ、コーニュコピア(cornucopia)=豊穣の角、をテーマにしたアレンジメントを紹介したいと思います。
アメリカでは11月の第4木曜を、秋の収穫に感謝する日“サンクスギビングデー(Thanksgiving Day)”として祝日に定めていますが、この日に飾る伝統的かつシンボリックなアイテムが、コーニュコピア。
ギリシア神話の最高神、ゼウスが羊の乳で育ったことにちなんで、羊の角の形をしたバスケットに花々を入れて祝ったのが始まりとされ(諸説あり)、溢れだす花や果物は、豊かな実りを彷彿とさせるものです。
11月になると、アメリカのフラワーショップの店先は、このコーニュコピアのアレンジメントで一杯になるとか。まさにアメリカらしい季節のバスケットアレンジと言えそうです。
さて、最初にご紹介するのは、深まりゆく秋を彷彿とさせる深紅のダリアが印象的なアレンジメント。
このダリア、“華麗”“優雅”“威厳”という花言葉のとおり、存在感も抜群で、大人っぽくモダンな秋の表現にぴったりです。
一緒に飾った花や実もそれに合わせて、深みのあるトーンで統一。色づきかけたグリーンを混ぜて季節感を印象づけるとともに、全体的には多色使いを避け、色数を絞ることで、よりセンスが光るアレンジメントになります。
シンフォリカルポスやヤマゴボウといった実ものも加わり、コーニュコピアにふさわしいリッチで豊穣感溢れるデザインは、リビングを華やかに彩ってくれそうです。
Flower arrangement by Chizue SUZUKI
Flower Material
ダリア(熱球)/スズバラの実/シンフォリカルポス(ワインレッド)/ケイトウ/スプレーギク/洋種ヤマゴボウ/ヒペリカムの枝/キイチゴ/赤ブナの枝/レザーファン
豊かな収穫のシンボルとして
おなじみの角笛スタイル
次に紹介するのは豊穣感を強調するため、横置きスタイルで仕上げたコーニュコピアの定番アレンジメント。
ブラウン、オレンジ、ベージュといった秋カラーの花材を中心に、シックで落ちついた雰囲気にまとめたアレンジメントは、角の先から、秋の実りがこぼれんばかりに溢れ出る姿を意識し、自然なイメージで仕上げるのもポイント。丸くかわいらしい豆粒大の柿やブドウも、リズミカルなアクセントになっています。
アメリカではこの日を境として、ホリデーシーズンに入りますが、そんなウキウキした心持ちも感じ取れるような季節のアレンジメントです。
Flower arrangement by Chizue SUZUKI
Flower Material
豆柿/スプレーギク/ユキヤナギ/ヒペリカムの枝/キイチゴの葉/ブドウ/ザクロ