デザインインフォメーション

2013.01.21

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建設中の「みんなの家」(2012.9.13)。骨組みがユニーク。

©伊東豊雄建築設計事務所

 

 

老若男女の住民が思い思いに集まり、街の将来を語り合う

「みんなの家」での人のつながりが復興の足がかりとなっていく

 

 

それでは、陸前高田市に建てられた「みんなの家」の様子を見ていこう。陸前高田は津波によって海沿いに幅広く、そして山側の長い距離にわたって根こそぎさらわれた街である。

 

伊東氏の呼びかけによって参加した乾久美子氏、藤本壮介氏、平田晃久氏の若手建築家と地元住民は協議を重ね、敷地は津波の限界到達点ぎりぎりの丘の上に決定した。街の状況を見渡すことのできる丘に屹立する姿は、街のすべての人の拠り所であり希望となる風格を漂わせている。

 

建物の大きな特徴は、建物を貫くかのような骨太の柱である。さまざまな太さの19本の柱は、浸水による塩害で立ち枯れた地元の「気仙杉」を使ったもの。工事には近隣の大学などからボランティアも多く参加し、約10mの高さの2階建ての建物が立ち上がった。

 

屋根の下には1階に土間と小上がりのようなスペース、2階に小さな和室があり、建物の外周を巡る階段は、てっぺんの見晴台へと続く。室内にも柱が現れて床を貫き、木立の中にいるような感覚がある。1階のスペースにはキッチンと薪ストーブを備え、飲食もできる使い方が想定されている。

 

老若男女の住民が思い思いに集まり、街の将来を語らう。どこかノスタルジックなスケッチは、そうした姿を示しているし、実際にコミュニティ再生の拠点として活用され始めている。「みんなの家」からさまざまな人のつながりが生まれ、普段の生活の拠り所となり、また真の復興の足がかりとなることが大いに期待される。

(文・加藤純)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊東豊雄氏らも参加して行われた「みんなの家」の上棟式(2012.8.7)。

©Naoya Hatakeyama

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物を貫くかのような骨太の19本の柱が特徴。

浸水による塩害で立ち枯れた地元の「気仙杉」を使っている。

©Naoya Hatakeyama

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1階のスペースにはキッチンと薪ストーブを備え、

飲食もできる使われ方を想定している。

©Naoya Hatakeyama

 

 

 

 

 

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