デザインインフォメーション

2018.03.05

最新北欧デザインに出会える最大の家具展
ストックホルム国際家具見本市2018

北欧の春を告げるストックホルム国際家具見本市が2月6日から11日まで、同市内の見本市会場で開かれた。出展数は個人を含めて700社ほどで、そのうちの約8割は開催国であるスウェーデンを筆頭にデンマーク、フィンランド、ノルウェーといった北欧が占め、このイベントは“北欧家具デザインに出会える最大の家具展”と称されている。期間中は約40000人の内海外からの入場者で賑わった。

 

 

(上2点)メインエントランスの広場を彩るイタリアのマルチデザイナー、Paola Navona(パオラ・ナヴォーネ)のインスタレーション。 日本でも知られているカラフルで楽しそうな作品が並び、来場者の寛ぎの場が提供されていた。

 

 

スウェーデンのモダン家具の大手、Swedese社の展示。両サイドの展示スペース中央に設計されたトンネル状のアプローチが印象的だ。

 

 

High School of Gavle(スウェーデン)のランプ“Vivus”。テーブルを囲む人数やその場の雰囲気に応じてシェードを調節し、照度をマニュアルでコントロールできる。3か所の球形の取っ手により、シャンデリアを広げたり狭めたりできる開閉システムになっている。

 

 

ストックホルムで毎年2月に開催

その年のトレンドを知る大規模家具見本市

 

メインエントランスの中央には、注目されている建築家やデザイナーの特設コーナー(Guest of Honor)の設置が恒例化されていて、今年はイタリア出身でマルチデザイナーとして知られるPaola Navona(パオラ・ナヴォーネ)が選ばれた。

 

インスタレーション内部には食器からセラミックなどバリエーションある家具デザインが展示され、寛ぎある空間を提供していた。

 

A、B、Cと3館ある会場は、頑張れば一日でザット見て廻れる“ヒューマンサイズ”の展示面積で、伝統的な木工家具をディスプレーした北欧ならではのブースが多くみられた。

 

(左)Aalto University(アアルト大学)デザイン科(フィンランド)。ブースを見てもアルヴァ・アアルトの後継を目指しているクリエーションがうかがえる。
(右)バレーに見られる片足で立つアラベスクのポジションをイメージした作品だというのだがバランスはしっかりしている(アアルト大学の学生)。

 

 

 

(左)Turku University (フィンランド)。トゥルク市の自治体と共同開発しているデザインの一つ。座椅子の下に照明を取り付けた無垢の木材を使用したベンチと、ツーリストなどに充電機能をサービスできるサイドテーブル。
(右)KTH(王立工科大学)建築学部(スウェーデン)のHarp Chair。厚さ5ミリほどの木片を巧みに組み合わせた機能的で透明感ある椅子。パイプオルガンをイメージしたような木片の組み合わせで、強度もしっかりしている。

 

(左)Oslo and Akershus University (ノルウェー)のプロダクトデザイン科のパインプロジェクト。ベンチとテーブルを一体化したもので、フレキシブルに物が置けるようにベンチはスライド式になっている。
(右)Offecct社(スウェーデン)のJacket Chair。ちょっとした会合などの出席時にジャケットをスマートにかけられる意欲作。デザイン: Claesson Koivisto Rune

 

また会場内には他のメジャー家具フェアーでは見られないGreenhouse(グリーンハウス)と称される特設コーナーがある。北欧諸国を中心としたデザイン学校やアートスクール、個人のデザインスタジオ用のブースだ。今年は27校を含め68か所からの出展があった。

 

この時期、日本の建築大学やデザイン専門学校などではすでに卒業制作が終えた段階だと思うが、ヨーロッパでは夏の卒業を控えてのプロトタイプの制作の真っただ中にあるのが現状だ。業界でのプロの道はハードなものだろうが、若手デザイナーが世界に向けて発信できる場として人気を得ている。

 

1月のケルンメッセに次ぐ2月のストックホルム、家具業界やデザイナーにとっての熱気は4月のミラノサローネへと継がれていく。

 

(写真・文:武藤聖一/フォトジャーナリスト、ストックホルム在住)

 

 

(左)Isku社(フィンランド)の円形にスウィングできる会議スペース、 “Hangarround”。エルゴノミックな体のポジションに加え、心身ともにリラックスできる未来志向のオフィス環境として注目される。デザイン:Kaisa Jantti
(右)今展示会の“エディターズチョイス”のベストスタンド賞に選ばれたTarkett社(スウェーデン)のブース。二次元プロジェクトをディスプレーするインテリジェントな三次元手法や、空間の巧妙な建築的使用が評価された。デザイン:Note Design Studio

 

Isku社(フィンランド)の作業環境にフィットさせる椅子。背もたれ付きで素材の選択も可能だ。数多く存在するこの種のチェアーで背もたれ付きはユニーク。デザイン: Mikko Laakkonen

 

ストックホルム国際家具見本市2018

Stockholm Furniture & Light Fair

会期:2018年2月6日(火)~2月11日(日)

会場:Stockholmsmassan(スウェーデン、ストックホルム)

http://www.stockholmfurniturelightfair.se/

https://www.jetro.go.jp/j-messe/tradefair/StockholmFurniture_54950

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