デザインインフォメーション

2013.01.21

陸前高田の「みんなの家」が完成!
「ここに、建築は、可能か
第13回ヴェネチア・ビエンナーレ
国際建築展 日本館帰国展」

3.11復興を願った陸前高田の「みんなの家」が完成。その制作過程をドキュメントで追ったアート展が話題になっている。建築家・伊東豊雄氏を中心とした東日本大震災復興支援プロジェクトのひとつだが、昨年の第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で展示されて「金獅子賞」を受賞。その帰国展として、いま開催されている。

 

 

日本を代表する建築家たちが参加して実現した「みんなの家」

被災者にとって寄り合い所のような居心地のいい家が完成した

 

東日本大震災から2年が経とうとしている。津波被害の大きかった被災地では膨大な量の瓦礫の片付けが着々と進んでいるものの、その代わりに見渡すかぎり何もなくなった、茫漠たる景色が現れている。

 

雪に覆われた被災地に立つと、復興というフェーズはまだまだこれからという思いを強くする。そのようななか、世界的に活躍する建築家たちが関わる「みんなの家」が次々と完成しているのは、明るいニュースだ。

 

「みんなの家」は、建築家の伊東豊雄氏が中心となって結成された「帰心(きしん)の会」が進める、東日本大震災復興支援プロジェクトのひとつ。10万人以上の人々が家を失い、無味乾燥な仮設住宅での厳しい暮らしが続く中、より人間的で居心地の良い場所を提供したいとの想いから提唱されたものである。被災者にとっての寄り合い所のような「家」が、各所で検討された。

 

国内外の多くの企業や個人の寄付を受け、これまで宮城県に2件、岩手県に3件が完成。昨年の11月18日に完成した岩手県陸前高田市の「みんなの家」については、やはり昨年開催された第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館で、1年にわたる議論や制作の過程を展示。その内容が評価されて「金獅子賞」を受賞した。この1月から、東京のTOTOギャラリー・間で帰国展が開催されている。

 

3.11以降、すべてのデザイナーやクリエイターたちにとって、「誰のために、何をどのようにつくるのか」は、常に向き合わなければならない命題となっている。震災によって私たちは極限の状況を突き付けられ、本当に大切なものは何かを見直す機運が高まった。建物や街でいえば、これまでは資本経済市場や近代技術の上に成り立っていた面も多分にあるが、そうした姿や作られる過程について脚元から見直す機会になっている。

 

伊東豊雄氏は震災後「今、建築とは何か」という根源的な問いかけを自らに課し、そして周囲に呼びかけた。「みんなの家」という小さな共同の施設は、人が必要とする建築本来の姿を見せ、この場で交流やコミュニティが生まれていく可能性を強力に示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展

日本館 での展示の様子。

©Naoya Hatakeyama

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展

日本館で展示された「みんなの家」の模型。

©Naoya Hatakeyama

 

 

 

 

 

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