世界の一流ブランド研究
シンプルを極めた直線的なデザインが
建築的な表情を生み出す
建築家としても活躍したネルソンは、建築に通ずる直線的なデザインの作品を数多く残している。ハーマンミラー社ではじめて手がけた「プラットフォームベンチ」や「ベーシック キャビネット シリーズ」など、シンプルを極めたファニチャーを見てみよう。
ネルソン プラットフォームベンチ(1946)
ハーマンミラーのデザイン・ディレクターに就いたネルソンが、最初に世に送り出した作品。彼のオフィス用に、ちょっと腰掛けるとき、ちょっと物を置くときに使い勝手がいい家具を……という観点から生まれた。木造建築の骨組みを連想させる格子状の座面は、究極のシンプルさを持ちながら、強いインパクトを与える。2台組み合わせてローテーブルにしたり、テレビ台にしたり、多様な使い方ができるプロダクトでもある。
ネルソン ベーシックキャビネット シリーズ(1946)
プラットフォームベンチとあわせて使えるモジュールの一環としてリリース。家庭でもオフィスでも使える収納家具として人気を博した。いったんは製造が中止されたが、現代においても、効率的かつ快適で魅力的な空間を創出できるデザインであることから、2011年5月に復刻された。素材はライトブラウンウォールナットとナチュラルオークの2種類で、モジュールは空間や用途に合わせた全26種類。
ネルソン ミニチュアチェスト(1952)
1951年、はじめて日本を訪れたネルソンが、日本の箪笥にインスピレーションを受けてデザイン。コレクターから絶大な人気を集めたシリーズで、発表から半世紀以上を経て復刻を果たした。素材は、オリジナルではローズウッドだったが、復刻版には環境に配慮したローズウッドステインのチーク材が採用されている。