世界の一流ブランド研究

2012.08.02

北欧家具の名門ブランド
フリッツ・ハンセンの魅力

北欧家具は、いまや日本のインテリアになくてはならない存在になっている。かつてのブームを超えて、もはや「定番」の家具として幅広い人気を誇っている。なかでもフリッツ・ハンセンは、革、ファブリックが生み出すナチュラルで素朴なテイストで、洋の空間のみならず和の設えにもしっくりとなじむ。いつまでの飽きのこないシンプルなデザイン、また機能性と耐久性の高さは日本の住空間に適しているといえる。

 

 

 

次世代まで使い続けられる北欧家具

リパブリック・オブ・フリッツ・ハンセン

 

フリッツ・ハンセンといえば、北欧を代表する名門家具ブランドのひとつである。ブランド名にピンとこなくても、アリンコチェア、セブンチェア、エッグチェアなどのプロダクツや、アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルム、ハンス・J・ウェグナー、ヴァーナー・パントンといったデザイナーの名前は、きっと見聞きしたことがあるはずだ。

 

フリッツ・ハンセンの歴史は古い。創業は1872年。当時はキャビネットメーカーとしてのスタートだった。

 

そして1885年にはコペンハーゲンに工場を構える家具製造会社となり、主にデンマーク国内の公共機関のために家具を製造していた。納入先は、国会議事堂や最高裁判所、図書館、美術館、学校、クリスチャンボー城など、設備をかんたんには変えられない施設ばかり。実用品として、高い耐久性は絶対にクリアしなければならない条件である。

 

1930年代には、ビーチ材のスチーム曲げ木の実験を重ね、技術を改良していく。この技術をベースに、フリッツ・ハンセンは成型合板の分野を極めていくことになる。

 

個人宅向け家具の製造販売に本格的に進出したのは戦後になってからだが、黎明期に培われたフリッツ・ハンセンの高いクォリティと耐久性が、1世紀を経た現在にも脈々と受け継がれてきた。

 

フリッツ・ハンセンでは、品質を保持するために徹底した管理を行っている。現在でも、ヨーロッパ向けとか海外向けを別な工場で製造する、ということもない。AJスタッキングチェアはデンマークに工場を構え、商品によっては欧州各地のサプライヤーを効果的に利用。同じ工場で作られた同じプロダクトが、全世界に向けて発送されているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1930年代のフリッツ・ハンセンの工場。ビーチ材のスチーム曲げ木の実験を重ねて技術を改良。この技術をベースに、フリッツ・ハンセンは成型合板の分野を極めていくことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルネ・ヤコブセン(1902~1971)。建築家、デザイナーとして多数の作品を残す。1950年代終わりにコペンハーゲンのロイヤルホテルを設計、そのプロジェクトの一環として生まれた「エッグチェア」など多くの名品がある。建築家以上に傑出したデザイナーとして尊敬を集め、その作品はデンマークのみならず世界の文化遺産ともなっている。

 

 

 

 

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