世界の一流ブランド研究
デンマークが生んだ照明の名作
ルイスポールセンのデザインと魅力
直接光と間接光の特性を活かした
光が自然に広がる照明を開発
高緯度に位置する北欧の夏は「白夜」で知られるように日照時間がとても長い。いっぽうで、冬になると極端に日が短くなり、都市によっては一日中日が昇らないこともある。
そんな北欧では、人工の明かりが担う役割は大きい。デンマークのルイスポールセンも、1874年に設立されて以来、北欧の人々の暮らしを照らし続けてきた。
ルイスポールセンの照明がデザインで注目されるようになったのは、1920年代の半ばから。気鋭のデザイナーであり、建築家でもあったポール・ヘニングセンと協力関係を築いたことがきっかけだった。
照明をデザインする際にヘニングセンが関心を寄せたのは、ランプ自体のデザインやフォルムではない。いかにして空間を自然に、美しく照らすことができるかだった。
ヘニングセンとルイスポールセンは「グレア(まぶしさ)が直接目に入りにくいデザインであること」、「光の反射と拡散に関して、照明工学的なロジックに則っていること」、「照明器具の形状やディテールは、機能的デザインを表現したものであること」、「明かりをつけたときも消したときも、空間に美しい雰囲気をつくりだすこと」をデザインポリシーに掲げて、名作を世に送り出したのである。
PHシリーズの代表作PH5は1958年発売以来、世界中で愛されている名作。「対数螺旋」という独特のカーブを採用したシェードと、内部の反射板を精巧に組み合わせて独特なデザインになっている。
PH5・ホワイト。価格:86,100円(税込)
ポール・ヘニングセン(1894-1967)
右)ポール・ヘニングセンのスケッチによる白熱電球のスペクトル。
左)白熱灯特有の赤い色を反射板で補正し、暖かさと爽やかさを同時に醸しだす光を実現。