世界の一流ブランド研究

2013.12.09

デンマークが生んだ照明の名作
ルイスポールセンのデザインと魅力

夜を美しく演出するデンマークの照明。北欧の冬の長い夜を心地よく暮らすための知恵が詰まっている。なかでも名作中の名作といわれているのがルイスポールセンの照明だ。1958年に発表されたPH5の多重構造シェードの普遍的なデザインは、いまも世界中から愛されている。この11月には、新作カラーのPH5コンテンポラリー( Contemporary)も登場した。

 

直接光と間接光の特性を活かした

光が自然に広がる照明を開発

 

高緯度に位置する北欧の夏は「白夜」で知られるように日照時間がとても長い。いっぽうで、冬になると極端に日が短くなり、都市によっては一日中日が昇らないこともある。

 

そんな北欧では、人工の明かりが担う役割は大きい。デンマークのルイスポールセンも、1874年に設立されて以来、北欧の人々の暮らしを照らし続けてきた。

 

ルイスポールセンの照明がデザインで注目されるようになったのは、1920年代の半ばから。気鋭のデザイナーであり、建築家でもあったポール・ヘニングセンと協力関係を築いたことがきっかけだった。

 

照明をデザインする際にヘニングセンが関心を寄せたのは、ランプ自体のデザインやフォルムではない。いかにして空間を自然に、美しく照らすことができるかだった。

 

ヘニングセンとルイスポールセンは「グレア(まぶしさ)が直接目に入りにくいデザインであること」、「光の反射と拡散に関して、照明工学的なロジックに則っていること」、「照明器具の形状やディテールは、機能的デザインを表現したものであること」、「明かりをつけたときも消したときも、空間に美しい雰囲気をつくりだすこと」をデザインポリシーに掲げて、名作を世に送り出したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PHシリーズの代表作PH5は1958年発売以来、世界中で愛されている名作。「対数螺旋」という独特のカーブを採用したシェードと、内部の反射板を精巧に組み合わせて独特なデザインになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PH5・ホワイト。価格:86,100円(税込)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポール・ヘニングセン(1894-1967)

 

 

右)ポール・ヘニングセンのスケッチによる白熱電球のスペクトル。

左)白熱灯特有の赤い色を反射板で補正し、暖かさと爽やかさを同時に醸しだす光を実現。

関連記事一覧