デザインインフォメーション

2013.07.16

1967年に結成された「天井棧敷」。草月アートセンターでの旗揚げ公演「青森県のせむし男」の貴重な写真も展示。

 

寺山修司ワールドにあふれた絵葉書も公開されている。

 

 

「天井棧敷」に関する貴重な資料なども公開

寺山修司を知らない世代にこそ見てほしい

 

展覧会では青森の少年時代の短歌活動や、歌人、シナリオ作家、評論家としての作品、さらには「天井棧敷」に関する貴重なオリジナル原稿や資料なども数多く公開されている。また、舞台で使用されたユニークな舞台装置まで展示されているのも見逃せない。

 

会場構成も必見。フジワラテッペイア―キテクツラボが手がける会場デザインが、寺山修司の独特な世界観を見事に再現している。世界的建築家、マリオ・ボッタ設計のワタリウム美術館の吹き抜け空間を巧みに活かしながら、迷路にはいったような演出効果が、寺山修司のアナーキーな実験的なイメージをさらに高めている。

 

今回、これほどまでに貴重なオリジナル作品を多く公開できたのは、1974年、ワタリウム美術館の前身のギャルリー・ワタリで、寺山修司の初の写真展「犬神家の人々」を開催するなど、故・和多利志津子氏と寺山修司との生前の関係によるところが大きい。展覧会の企画運営に和多利志津子氏も大きく関わっていたが、残念ながら展覧会の開催を観ることなく、昨年12月に80歳でご逝去されている。

 

20世紀末の演劇シーンに多大な影響を与え、海外公演でも高い評価を受けた「天井棧敷」。寺山修司没後30年という節目に、寺山修司を知らない若い世代にも、ぜひ見てほしい展覧会だ。

 

町は開かれた書物。書くことのできる余白はたくさんある――。「書を捨てよ、町へ出よう」と、語り続けた寺山修司。

 

寺山修司が何を目指し、何を表現したかったのか、その真意と謎を現代の視点で探ることができる必見の展覧会だ。10月27日までのロングランの開催だけに、この夏休みに寺山修司の世界を体験してみてはいかがだろう。

 

 

貴重な印刷物や写真で、「天井棧敷」や「ノック」がいま蘇る。

 

寺山修司の生原稿や、高校時代の答案用紙も展示されている。

 

天才歌人として話題になった青森・三沢時代の展示コーナー(左)。また、併設の「オン・サンデーズ」では寺山修司関連の著作やグッズ類も販売(右)。

 

 

 

寺山修司(てらやましゅうじ)

1935年 、青森県弘前市紺屋町に生まれる。

1951年(15歳)、青森県立青森高校入学。

1954年(18歳)、 早稲田大学教育学部国語国文学科に入学。

1957年(21歳)、第一作品集『われに五月を』(作品社)が出版される。

1959年(23歳)、 谷川俊太郎のすすめでラジオドラマを書き始める。

1967年(31歳)、 横尾忠則、東由多加、九條映子(今日子)らと演劇実験室「天井棧敷」を設立。第一回公演「青森県のせむし男」を皮切りに「大山デブコの犯罪」「毛皮のマリー」と次々に上演する。

1975年(39歳)、東京・杉並区で市街劇「ノック」上演中に警察が介入、新聞の社会面をにぎわす。 1983年(47歳)、肝硬変と腹膜炎のため敗血症を併発、死去。享年47歳。

 

 

寺山修司展『ノック』

会期:2013年7月6日(土)~ 10月27日(日)

会場:ワタリウム美術館

東京都渋谷区神宮前3-7-6

電話:03-3402-3001

休館日:月曜日 (9/16、9/23、10/14 は開館)

開館時間: 11時より19時まで(毎週水曜日は21時まで延長)

入館料:大人 1000円/学生(25歳以下)800円

ペア券:大人 2人 1600円 / 学生 2人 1200円

会期中、何度でも入場できるパスポート制チケット

http://www.watarium.co.jp

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