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2013.07.16

伝説の「天井棧敷」が、いま蘇る
寺山修司展『ノック』

アナーキーで実験的な活動をした寺山修司の多彩な偉業は、今もなお伝説として語り継がれている。没後30年の節目のこの夏、市街劇「ノック」をはじめとする寺山修司ワールドが、大々的に展覧会で復活。寺山修司が何を目指し、何を表現したかったのか。その真意や謎を現代の視点で探ることができる必見の展覧会だ。

 

伝説となった市街劇「ノック」を検証

謎に包まれた寺山修司の世界を探る貴重な展覧会

 

演劇実験室「天井棧敷」を主宰し、演出家でありながら歌人、俳人、映画監督、小説家、随筆家、評論家、脚本家など、マルチな才能を発揮した寺山修司。47歳で早世してから30年目の今年、寺山修司ワールドが大々的に蘇る。

 

10代の頃から、すでに故郷・青森で天才歌人の名をほしいままにしていた寺山修司。上京してからは、膨大な量の文芸作品を発表しながら、演劇実験室「天井棧敷」で多くの作品を発表。都市におけるアナーキーで実験的な演劇活動は、伝説となっても今も多くの人たちの記憶に残っている。

 

展覧会のタイトルにもなっている「ノック」は、1975年4月、東京・阿佐ヶ谷近郊で行われた30時間におよぶ市街劇のタイトルに由来している。「閉ざされたドア、閉ざされた心をノックしてみる」をテーマに、地域住民の玄関の扉を突然ノックするなど、「あなたの平穏無事とは何なのか?」を問う革新的な演劇であった。

 

そこには「地図引換人」、「空中散歩者」、「天文学者の孤独」など、19本のアナーキーで衝撃的な演目が同時多発的に実施。この破天荒な演出に驚いた住民が、警察に通報したというエピソードも残っている。

 

今回の展覧会は、この市街劇「ノック」の真意を貴重な映像や多数の未発表資料などによって検証。謎に包まれた寺山修司の世界を、現代の視点で探ることができる貴重な機会になっている。

 

1975年に演じられた市街劇「ノック」の貴重な写真。

 

「ノック」での大がかりな舞台装置の秘蔵写真も公開。

 

ワタリウム美術館の吹き抜けの空間に「ノック」や「天井棧敷」の映像が映し出される。

 

「天井棧敷」の公演で使用されたユニークな機械仕掛けの舞台装置も展示されている。

 

当時の小道具や作品と一緒に、寺山修司の言葉が書かれた壁面。

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