デザインインフォメーション

2013.07.08

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「VMAX」(2008年)

オートバイでも未来的フォルムを表現している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Y125 もえぎ(コンセプトモデル)」(2011年)

これからのオートバイのデザインを考えたコンセプトモデル。

 

 

 

 

 

モダンデザインと東洋思想の融合が

60年近くにわたる栄久庵憲司氏のデザイン活動の原点

 

東京生まれの栄久庵氏だが、広島市の実家の寺を継ぐために、一時は僧侶の道を歩もうとしていた。しかし、一転、デザインの世界を志すことになる。

 

その原点には、原爆で廃墟となった広島の街の光景と、進駐軍がもたらしたアメリカ文化があったともいわれている。また、幼少期にハワイ移住を経験したことも影響していたのかもしれない。

 

以来、60年近くにわたる栄久庵氏のデザイン活動。その根底に流れているのは、アメリカ文化で培われてきたモダンデザインと東洋思想の融合であったといえるだろう。それに加えて、人々がつくってきた道具についての長年の研究があげられる。

 

栄久庵氏は、太古から人類が手にした道具に着目。本来の暮らしに必要な人と道具のあるべき関係を、デザインという手法で提案してきた。暮らしの中で使える道具を見据えながら、日本のインダストリアルデザインの発展に大きく貢献したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中央快速線 E233系」(2006年)

東京でよく見かける鉄道車両も多く手がけている。

 

 

 

 

 

栄久庵憲司氏とGKデザインの世界に触れると同時に、

日本のインダストリアルデザインの発展が体験できる

 

栄久庵憲司氏とGKデザインは、鉄道車両、オートバイ、自転車、家電製品をはじめ、施設のサイン計画や都市のインフラストラクションまで、多彩なデザインを送りだしてきた。日本の工業デザイン界の草分けにして、今日にいたるまで、日本の第一人者として活躍している。

 

鉄道車両のデザインも多い。秋田新幹線こまちE3系や中央快速線E233系など、目にされた方も多いはずだ。

 

また、オートバイの世界でも名作を多く生み出している。単気筒エンジンのヤマハSR400は、1978年に誕生以来、35年間、オーソドックスなスタイリングを変わらずに守りつづけている。未来的フォルムのヤマハVMAXも、2008年から、革新的デザインを表現しつづけている。

 

今回の展覧会は、製品化されたものやその模型をはじめとして、将来へのプロポーザルを展示。さらには人と自然と道具が美しく共生する世界を具現化したインスタレーションも発表している。

 

栄久庵憲司氏とGKデザインが展開してきた、インダストリアルデザインの世界に触れると同時に、戦後、日本が創り上げてきたインダストリアルデザインの発展をも体験することができる。貴重な機会だけに、ぜひ足を運ばれることをおすすめしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「触れる地球」(2001年)

人と自然の共生する世界を表現。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「道具自在千手観音像」(2006年)

栄久庵憲司氏らしい東洋思想が活かされた作品。

 

 

 

 

 

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