デザインインフォメーション

2013.04.15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Peak Hut(2012年/長野県北佐久郡)

©雨宮秀也

 

 

会場には原寸大の「究極の小屋」も出現

小屋の向こうに広がる豊かな世界に触れることができる

 

展覧会場は、小屋好きらしい中村氏ならではの「遊び心」に満ちている。小屋を訪ね、小屋を体験し、小屋から学ぶという、大きく3つのパートで構成されているのが見どころだ。

 

3階の第1会場では、「鴨長明の方丈」から「ル・コルビュジエの休暇小屋」まで、中村氏が憧れて影響を受けてきた「古今東西の7つの小屋」を展示。4階の第2会場では、中村氏が設計してきた多くの住宅の中から特に「小屋的な」住宅を選りすぐって紹介している。

 

そして圧巻は、中庭に原寸大の「ひとり暮らし用」の小屋を実際に建てて展示までしているのだ。ここ数年、中村氏自身の小屋で実験してきたエネルギー自給自足型の小屋を究極なまでにダウンサイジングしたもの。この「究極の小屋」に身をおくと、つつましい小屋の向こうに広がる豊かな世界に触れることができる。

 

また、「究極の小屋」の小屋の図面やスケッチも第2会場で展示。さらに大阪の工務店での仮組み、中庭での地鎮祭、建て込みの制作風景までも動画で上映している。すまいと暮らしの原型をさまざま視点で体験できる趣向になっている。

 

小屋には、どこか秘密基地や隠れ家的なイメージがありロマンをかきたてるイメージがある。同時にミニマムな最小空間には個人住宅の原点を感じることができる。今回の「中村好文展 小屋においでよ!」は、建築家の思想に触れながら、あらためて「住宅とは何か?」を考えることができる。都心にいながらさまざまな小屋を体験できる、「遊び心」に満ちたとても楽しい展覧会だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Jin Hut(2012年/北海道虻田郡真狩村)

©雨宮秀也

 

 

 

 

 

 

中村好文(なかむら・よしふみ)

1948年、千葉県生まれ。72年、武蔵野美術大学建築学科卒業。72~74年、宍道建築設計事務所勤務の後、都立品川職業訓練所木工科で家具製作を学ぶ。76~80年、吉村順三設計事務所勤務。81年、レミングハウス設立。99年~日本大学生産工学部建築工学科教授。

1987年、「三谷さんの家」で第1回 吉岡賞受賞、93年、「一連の住宅作品」で第18回 吉田五十八賞「特別賞」受賞。主な作品に、「ReiI Hut」(栃木県、2001年)、「伊丹十三記念館」(愛媛県、2007年)、「明月谷の家」(神奈川県、2007年)など。著書に、『住宅巡礼』、『住宅読本』、『意中の建築 上・下巻』(以上新潮社)、『普段着の住宅術』(王国社)、『住宅巡礼・ふたたび』(筑摩書房)、『中村好文 普通の住宅、普通の別荘』(TOTO出版)など。

 

 

 

 

 

 

 

中村好文展 小屋においでよ!

会場:TOTOギャラリー・間

東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F

会期:4月17日(水)~6月22日(土)

開館時間:11:00~18:00(金曜日のみ19:00)

休館日:日・月曜日、祝日

入場料:無料

問い合わせ先:03-3402-1010

http://www.toto.co.jp/gallerma/

 

 

 

 

 

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