デザインインフォメーション

2012.05.28

『シャルロット・ペリアンと日本』展に
日本の現代デザインのルーツを観る

シャルロット・ペリアン《オンブル(影)》1954年

Photo:Shizuka Suzuki

 

 

20世紀の建築&デザインに大きな功績を残したシャルロット・ペリアン。目黒区美術館で開催中の『シャルロット・ペリアンと日本』で、戦前から日本と深いつながりを持っていた彼女の足跡をたどった。

 

 

 

日本のデザイン界に大きな影響を与えた

フランス人デザイナー、シャルロット・ペリアン

 

日本のデザインは、日本で独自に進化をとげたものではない。ヨーロッパやアメリカ、アジアなど諸外国からの影響を受け、また日本古来のデザインが外国人の目によって再評価されるなかで、新たなデザインとして生まれ変わってきた。

 

建築家でありデザイナーでもあるシャルロット・ペリアンは、戦前戦後を通じて日本のデザイン界に影響を与え続けたひとりである。彼女自身、日本の工芸品に影響を受け、「日本らしさ」を持った作品を多数世に送り出した。

 

プロダクトだけではなく、日本の建築分野でも活躍した。エールフランスの東京オフィスは坂倉準三が設計し、ペリアンがインテリアデザインを担当。丹下建三が設計した旧東京都庁では、都知事執務室のインテリアデザインを手がけた。

 

フランスに生まれ育ったペリアンは、ル・コルビュジエの下で働いていたときに日本人建築家・坂倉準三と出会う。日本との深い縁は、そこからはじまった。

 

『シャルロット・ペリアンと日本』は、彼女がデザインした家具、建築物の写真や図面、彼女自身が撮影した写真などを展示し、ペリアンの創作活動を多角的に振り返っている。ペリアンが、なにを見て、なにを感じて、デザインをしていたのか――。

 

展覧会に出展協力をした坂倉建築研究所の萬代恭博さんにお話をうかがった。

 

「ペリアンは、外国人の目から日本のよさを発見し、発展させていきました。坂倉準三をはじめ、松平斉光、柳 宗悦、柳 宗理、河井寛次郎、山口弘道ら、日本民藝協会のメンバーとも親しかった。民藝のメンバーと交流を重ねるなかで、日本古来のデザインにインスパイアされながら、日本のデザインの魅力を引き出した作品を生み出していったんです」

 

たとえば、1941年の作品である竹製のシェーズ・ロング。竹は戦前の日本では安価な材料のひとつだったが、外国人にとってはオリエンタルで関心をひく素材でもあった。日本人が忘れかけていた魅力を再発見し、デザインの力で価値あるものに仕上げていったのだ。

 

 

シャルロット・ペリアン、銚子海岸にて 1954年 Photo:Jacques Martin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルロット・ペリアン《竹製シェーズ・ロング》 1941年/1985年再制作、Cassina

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルロット・ペリアンの魅力を語ってくれた坂倉建築研究所の萬代恭博さん。

建築家・坂倉準三(1901-1969)は、ル・コルビュジエに師事して、20世紀のモダニズム建築を実践。シャルロット・ペリアンとの親交も深かった。

 

 

 

 

 

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