デザインインフォメーション
「建築界の女王」、ザハ・ハディド
日本初の大規模個展が開催中!
そのザハ・ハディドの日本初の大規模な個展が、東京オペラシティアートギャラリーで開催されている。これまでに名前を聞いたことがなかった人もよく知っている人も、刺激を大いに受ける展示となっている。12月23日までの開催なので、会期はあとわずか。
数々のドローイングや模型から見えてくる
斬新なフォルムを創りだすクリエイティビティの源泉
“アンビルトの女王”。幸か不幸か「アンビルト=建たない」という異名を長い間与えられていたザハ・ハディド。
その理由には、本展覧会の最初のスペースから早速触れることができる。壁面に広がるのは、エッジの効いた彫刻か鉱石のような物体が描かれたドローイングの数々。モノトーンを基調とした地色の中にビビッドな色が差し込まれた様子は、見る者をハッとさせ、心に突き刺さる。
〈ザ・ピーク〉の国際コンペティションでは革新的な案とドローイングで1等となるものの、計画の途中で中止に追い込まれ、独立後10年以上にわたって実作に恵まれることはなかった。案を実現しようにも、1980年代当時の施工技術や一般の感性では応じきれなかったのである。
そのようななかで、初めて実現したプロジェクトが日本であったことは、現在に至る日本との関係を指し示すようで興味深い。
それは札幌のレストラン〈ムーンスーン〉の内装。惜しくも現存していないが、今回の展示の冒頭で当時の写真や一部のソファーが配されていることは嬉しい。触れることはできないものの、じっくりと眺めて造形美や配色の妙を味わうことができる。
このソファーに続くように、今回の会場では特別にデザインされた展示台が設えられている。真っ黒で、斜めにカットされたようであったり、時に突き出していたり。展示什器などもまた、彼女の作品であることに留意して、その上に並んでいる模型などを楽しみたい。
ザハ・ハディド Zaha Hadid
1950年 イラク、バグダット生まれ
1977年 英国建築協会付属建築学校(AAスクール)卒業
Office for Metropolitan Architecture (OMA) 参加
1980年 ザハ・ハディド・アーキテクツ設立
1983年 〈ザ・ピーク〉国際コンペティション1等
1993年 〈ヴィトラ社消防所〉竣工
2004年 プリツカー賞受賞
2012年 大英帝国勲章デイム・コマンダー (DBE) 受章
東京・〈新国立競技場〉国際デザイン・コンクール最優秀賞