デザインインフォメーション
現場の迫力や人の関わりも実体験できる
多彩な展示内容にも注目
TOTOギャラリー・間の展覧会場で今回は何があるかと楽しみな中庭に出ると、台中メトロポリタンオペラハウスの壁の一部を原寸大でつくったモックアップが置かれている。
壁の厚さはほとんどが40cm。「カテノイド」という三次元に曲がった面でつくられる構造で、すさまじい量の鉄筋が高い密度で組まれた姿は圧巻だ。CGの絵を見ているだけでは決して感じられないモノの迫力を、ぜひ感じていただきたい。
「実際の製作や工事の現場を見てみたいな…」と思いながら階段を登っていくと、上(4F)のフロア手前にはヘッドマウントディスプレイがテーブルに置かれている。ゴーグルのようなディスプレイを装着すると、目の前には工事中の現場を歩く映像がバーチャルで広がる。
360度全方位の3D映像が撮られていて、頭の向きを変えると、そちらの光景がタイムラグなく見えるというものだ。空間がどのように縦横に広がっていくのか、光が届くのかを疑似体験でき、新鮮さを味わえる。
上のフロア奥には、設計競技の審査員の言葉、生命体のような三次元曲面の内部空間構造を解説するCG映像、さらには建設現場の様子や、台中市長や現場責任者などの生の声をまとめた映像が上映されている。
なかでも現場責任者が「この建物が完成すれば、“世界で最も施工困難な建物”を成し遂げることになる」と誇らしげに語っていたことが印象的だ。
この台中メトロポリタンオペラハウスは、約1年後に竣工予定だという。10年越しに広がる新しい世界が、いよいよ待ち受けている。この建物を見るだけでも、台湾旅行を計画してみてはいかがだろう。
(取材・文/加藤 純)
伊東豊雄展
台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014
会期:2014年10月17日(金)~12月20日(土)
会場:TOTOギャラリー・間
開館時間:11:00~18:00
休館日:日曜日・月曜日
ただし11月2日(日)、3日(月・祝)は開館
入場料:無料
住所:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
電話:03-3402-1010(代表)
http://www.toto.co.jp/gallerma/