デザインインフォメーション

2014.09.08

ベールに包まれていた「ガラスの家」を
「建築家ピエール・シャローとガラスの家」展で体験

アール・デコの時代に、革新的なデザインをしたことで知られる建築家のピエール・シャロー。代表作である「ガラスの家」を中心に、生涯の活動を伝える、「建築家ピエール・シャローとガラスの家」展が、パナソニック 汐留ミュージアムで開催中。伝説のデザイナーと称される彼の展覧会は、本邦初。家具作品の実物やパネル、スライドから多くを感じ取りたい。展覧会は10月13日(月)までの開催。

 

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ピエール・シャロー≪ガラスの家≫1927-1931年

ピエール・シャローが全身全霊をもって取り組んでデザインした代表作。南北の面をすべてガラスブロックの壁にしたのは、制約のあるアパルトマンの空間に、光を最大限に取り入れるための策であった。
(上3点の画像すべて)
Photo(C)Centre Pompidou – MNAM Bibliothèque
Kandinsky – Georges Meguerditchian

 

 

近代建築の傑作「ガラスの家」に至る

ピエール・シャローの思考と実作のプロセス

 

近代建築の傑作の一つとして必ず挙げられる「ガラスの家」の写真は、一度は目にしたことがあるかもしれない。

 

半透明のガラスブロックで覆われた壁、その面を通し大空間に充満する柔らかな光によって醸しだされている静謐な雰囲気は、見た人の心を捉えて離さない。

 

「ガラスの家」が竣工したのは、1931年。ル・コルビュジエがパリ郊外の広大な敷地に「サヴォア邸」を完成させたのと同じ時期である。対してピエール・シャローは、パリ中心部に建つアパルトマンの一角の低層部を改修することを依頼された。

 

1階が医院、その上の2層と3層が住宅という、今でいえば大規模なリノベーションであった。このプロジェクトに、ピエール・シャローはそれまでの経験をフルに活かし、全身全霊をもって取り組んでいく。

 

本展覧会では、「ガラスの家」に至るまでの背景と、ピエール・シャローが培った経験の詳細が丹念に描かれている。

 

入場してからしばらく続くのは、家具に注力していた時期のスケッチや詳細図、実物の展示だ。金工職人や芸術家との交流から発想をふくらませ、実作に展開していった過程が見受けられる。

 

そして、インテリアの改装の事例も複数紹介される。優美なアール・デコの影響を強く受けながらも、彼の関心が装飾的な要素よりも構成的・構築的な方向に傾き、アール・デコと決別するかのような表現になっていくのは非常に興味深いところだ。その延長線上で、「ガラスの家」は結晶化する。

 

なお本展の会場構成を手がけたのは、建築設計事務所のみかんぐみ(担当:マニュエル・タルディッツ)。フランス人つながりで、エスプリがどのように表現されているのか。分かる人には見どころかもしれない。

 

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ピエール・シャロー(1883-1950)

フランスの家具デザイナー・インテリアデザイナー・建築家。パリのサンジェルマン・デュプレのアパルトマン一角に建てられた、医師ダルザスの邸宅兼診療所である、通称「ガラスの家」と呼ばれる建築デザインで世界的に知られる。

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