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2013.11.25

日本写真界の巨星!
生誕100年の大回顧展
「植田正治のつくりかた」

故郷、山陰地方の背景の中に人物を配置した独特な演出写真で、日本の写真史に大きな足跡を残した写真家、植田正治(1913-2000)。生誕100年を記念して、東京ステーションギャラリーで代表作約150点を集めた回顧展「植田正治のつくりかた」が開催されている。

 

いかにして植田正治の作品が生まれ

いかにして「植田正治」という写真家が生まれたのか

 

植田正治は、鳥取県境港市に生まれ、死ぬまでその地を拠点に活動を続けた、生涯、アマチュア精神を貫いた写真家である。

 

シンプルな場面設定と人物の構成で、代表作にもなった「少女四態」(1939)。4人の少女を砂の上に均等に配し、それぞれにちがうポーズを取らせている。また、地面と空との境もあいまいなほど平板な背景のなかに家族の肖像を散在させた「パパとママとコドモたち」(1949)。

 

さらには、TAKEO KIKUCHIのコレクションカタログ『TAKEO KIKUCHI AUTUMN AND WINTER COLLECTION ’83-‘84』に端を発した、ファッション写真(後の<砂丘モード>シリーズ)など、写真にさほど詳しくない人でも、どこかで見たことがあるのではないだろうか。

 

山陰の空、地平線、鳥取砂丘を背景にした平面的な構成。演出を際立たせた作風は「植田調」と評され、写真誕生の地であるフランスでも、日本語のまま「Ueda-cho」として広く認識されている。

 

しかし、植田の作品のすべてに「植田調」の手法が用いられているわけではない。作品集『童暦』に収められた作品群のように、こどもたちの姿や山陰の風景を活き活きと切り取ったものもあれば、極端にコントラストを強めて影絵のように見せているものもある。

 

中学生(旧制)で写真をはじめてから2000年に亡くなるまで、さまざまなテーマ、構図、手法で撮影し続けた植田正治。

 

年代別にまとめられた作品を観ることで、植田正治の創作世界を知り、同時にその作品世界から植田正治という写真家の成り立ちを知ることができる展覧会となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少女四態」 1939 年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パパとママとコドモたち」 1949 年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風船をもった自画像」 1948 年頃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「童暦」より 1955-70 年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「船」1933 年

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